斑入りマドカズラの斑の安定性(元株の斑入り状態)
今回はマドカズラの挿し木にトライします。挿し木自体は、モンステラと同じ感じで難しくないだろうと思っています。しかし、作りたい斑(ハーフムーン、三光斑、、、等々)がコントロールできるか?が確認したいところです。
まず挿し木のもとに使う親株です。以前に「モンステラ フィロデンドロン 挿し木のための気根2」で紹介したことのある株です。
多数の節数からなる長い主茎が伸びていますが、葉の斑入り状態は、イマイチです。たまに大きく斑が入ることはありますが、かなり不安定です。この株をこのまま育てても、綺麗な三光斑やハーフムーン、フルムーンになるのは難しいという判断で、切り戻しを兼ねて挿し木することに決めました。感覚的には、斑無しの葉、もしくは殆ど斑の入らない葉が3枚以上続くと、切り戻すことを考えるようにしています。モンステラ、マドカズラのようなアロイドにおいて、切られる親株のダメージが大きいので、もちろん冬には、切り戻しません。しかし、真夏だろうが、一定以上の温度がある時期なら、遠慮なく切り戻すようにしています。斑無しマドカズラを育てても、全く面白くないですので…。
続いて、茎の写真です。茎は葉の斑入りにリンクしている重要な情報を示しています。基本的に、真緑の茎から、斑入り葉が出る可能性は極めて少ないです。まず斑のはっきりしている茎の部分をピックアップです。
この茎だけ見ると、斑入りの白部と緑部がくっきり分かれているので、ハーフムーンのような緑と斑入り部が分かれる葉を期待します。が、そのような嬉しい葉はたまには出ましたが、継続的には出ませんでした。。。一方で、茎の斑が抜けていく部分の写真です。
左から右に茎は伸びています。写真中央の節の左には斑の白筋が見えますが、右側には斑の白筋が皆無(斑無し・斑抜け)です。完全に斑無しの茎になると、斑入り葉が出ることは期待薄と思います。茎の内部に斑があるので斑が戻るという考え方も聞きます。しかし、茎に全く表れない斑が、茎の表面そして葉に表れるのをのんびり待つ気にはなれません。
斑入りの挿し穂の採取
紹介した親株の茎を切り刻んで、挿し穂を作ります。先に挿し穂として枝を切り刻まれた親株から紹介します。
切りすぎ!と思うかもしれませんが、一気にやります。親株はしっかり根を張らせているので、間違いなく芽吹いてくれる!という自信からです。親株と言えるくらい、挿し穂を採る前に、しっかり生育させておくことが大前提ですので、ご注意ください。5節あるので、どの節かは間違いなく芽吹くと思います。そして5節のどれかの芽には斑が入ることを期待します。
期待薄の挿し穂
次に、切り刻んで作った挿し穂です。まず斑が抜けてしまった先端側です。
枝天芽になりますが、完全に緑しかありません。ここから、斑入り葉が出るととても思えません。続いて、先の写真でも示した斑入りから斑無しに変わる部分の枝です。
挿し穂は基本的に2節で取ります。1節だと出芽が傷んだ時に保険がありません。2節だと、最初の出芽が傷んでも、もう一つの出芽が成長してくれます。また、最初の出芽が斑無しと分かった時に、意図的に芽を摘んで、もう一度、斑入りの出芽を期待してトライできます。もちろん、斑入りが期待される部分を選抜して、1節の挿し穂とするのもありだと思います。しかし、今回のマドカズラの挿し穂取得で分かったこととして、マドカズラの芽点の斑入り予測は結構、難しいです。モンステラに比べると、マドカズラは茎が細く、芽点がクリアでないこと理由です。モンステラの芽点は、茎が太く、芽点も大きいこともあり、芽点の斑入りを予測しやすいです。私の結論としては、マドカズラを1節の挿し穂で挿し木するのは、少しリスクが多いように思います。1節ずつ挿し木したら、できる挿し木株が多くなりすぎて管理が面倒ですし。
ハーフムーン期待の挿し穂
続いて、斑入りの出芽が期待される挿し穂です。まずハーフムーンのような緑部と白斑部がくっきり分かれた挿し穂です。
出芽が見えないですが、枝の斑入り部と緑部はくっきり分かれています。斑入り部と緑部の境界部から芽が出ると、ハーフムーンが期待されます。ただし、1節の挿し穂のため、チャンスは1回のみです。
もう一本のハーフムーン期待の挿し穂です。
こちらは3節の挿し穂です。芽点が見えないですが、枝の斑入り部と緑部はくっきり分かれており、ハーフムーンの斑入りが期待できます。斑入り部と緑部がくっきり分かれている枝は、ハーフムーン、フルムーンが期待されますが、一方で、完全な緑の斑無しの可能性も大きいです。芽点が見えると、事前に予測しやすいのですが、取得した挿し穂では、イマイチ分かりませんでした。
三光斑、霜降り斑期待の挿し穂
続いて、三光斑、霜降り斑が期待される挿し穂です。
筋状に茎に白斑が入っています。3節ある挿し穂で、一番左側と一番右側の節は出芽が見られます。どちらも筋状の茎の白斑と重なっており、期待大の挿し穂です。
もう一点の同じ感じの挿し穂です。
こちらは2節の挿し穂で、やはり筋状に白斑が見られます。右側の節の出芽が見えており、芽点が筋状の白斑と重なっており、期待大です。
最後の挿し穂も、三光斑・霜降り斑期待の挿し穂です。
こちらは2節の挿し穂で、やはり筋状に白斑ありです。右側の節に出芽も見られます。今回の挿し穂の中で、一番気根が長く、挿し木成功率においては、この挿し穂が最も成功率が高そうです。
紹介した7点の挿し穂うち、ハーフムーン期待の2つ、三光斑期待の3つに特に注目して育てたいと思います。
斑入りの挿し木苗の完成
斑入りに着目した挿し穂について、すべて水苔で挿し木しました。こちらはハーフムーン期待の挿し穂の挿し木苗です。
次は、三光斑、霜降り斑期待の挿し穂の挿し木苗です。基本的な植え付け方は、上向きに植え付けて半分を水苔に埋めるです。時々は、水苔の上に挿し穂を横に寝かせて植え付ける時もあります。
挿し木苗の作り方自体は、挿し木前に挿し穂に吸水を数時間させてから、水苔に挿すだけです。特段の作業のコツはありません。モンステラの挿し木のやり方の注意点は、元気な挿し穂である前提なら、挿し木時期を選ぶくらいです。ただし、最適な挿し木時期を狙うというよりは、不適期の晩秋から真冬と真夏を避けて挿し木する程度で、特段の難しさはありません。
斑入りマドカズラ挿し木のまとめ
マドカズラの挿し木について、期待薄の挿し穂はともかくとして、ハーフムーン期待の2点、三光斑期待の3点の挿し木苗を作りました。今までモンステラ「デリシオーサ」の挿し木は何度か経験してきましたが、今回は、マドカズラ、すなわちモンステラ「アダンソニー」の挿し木の初トライです。
まとめとして、「デリシオーサ」の挿し木と、「アダンソニー(マドカズラ)」の挿し木の違いを列記します。まずモンステラ「デリシオーサ」に比べて、マドカズラが難しそうな点です。
- マドカズラの方が芽点が小さいため、出芽の斑入り度合を予測しにくい
(せっかく育てたのに、斑無しだった…というリスクが大きい) - マドカズラの方が気根の生育が少ない(遅い)ので、挿し木成功率の高い気根付き挿し穂が作りにくい
次に、モンステラ「デリシオーサ」に比べて、マドカズラが簡単そうな点です。
- マドカズラの方が茎が伸びやすいので、挿し穂数を多く取りやすい
- 挿し穂が細いので、小さく挿し木苗が作れるため、省スペースで多数の苗を育てやすい
今回は、挿し木スタートした!という記事です。今後、芽が出たりと変化があったら記事にしていきたいと思います。狙うところは、100%で狙う斑入り苗を作る!!とはならずとも、50%で狙う斑入り苗を作る!のコツが掴みたいと思っています。