オブリクアだけの特徴
前記事「モンステラ・オブリクアの一括挿し木(1か月後)」の続きで、親株の成長の観察です。オブリクアは、モンステラの一種です。同じモンステラでも、葉の外縁部が裂けて、大きな葉を展開するモンステラ・デリシオーサやモンステラ・ボルシギアナには全く似ていません。葉の外縁部が繋がっていて穴が開く葉の特徴は、マドカズラ(モンステラ・アダンソニー)に似ています。しかし、マドカズラと比べると、葉の中の穴の面積が大きく、葉が波打っている(マドカズラの葉は平面的)点が異なります。マドカズラ・ペルーの方が異様な感じがあって、珍しいもの好きには、たまらない良さがあります。単純にレアだということもありますが。

オブリクア・ペルー(左)とマドカズラの葉(右)
そして、他のモンステラでは見られないオブリクアに独特の特徴があります。それは、葉とは別にランナーを伸ばすことです。葉が展開すると葉ばかり展開するし、ランナーが伸びだすとランナーばかり伸び始めます。
ランナーは挿し木に使えて便利なのですが、親株側は、ランナーばかり伸びても困ります。観葉植物的には、ランナーではなく、葉を観賞したいですし。。。前記事で挿し木に使った親株(2022年真夏)のランナーはこんな感じでした。

モンステラ「オブリクア・ペルー」ランナー
本当にびっくりするぐらい伸びます。株サイズと比べると、よく分かるかと思います。葉2枚の株に対し、50cm以上のランナーが伸びています。
ランナー切断後の観察5か月後
前記事「モンステラ・オブリクアの一括挿し木(1か月後)」では、ランナーを切断された親株2株ともに新葉が展開する姿が見られました。
その後、秋を経て、真冬の1月の状態です。ランナー切断後から5カ月経過しました。まず、入手時の水苔植えのままの小さい株です。

オブリクア・ペルー(@ランナー切断から5カ月後)
葉数は10枚くらいで、賑やかな株になっています。ランナーは伸長せず、新葉がさらに展開しようとしています。8cm径の透明ロングポットの小さい株ですが、2株に別れており、どちらの株からも新葉の展開(赤矢印)が見られます。

オブリクア・ペルー新葉展開中(@ランナー切断から5カ月後)
次に、もう一つの土に植えた大きい方の株です。こちらの株の方が、たくさんの元気な葉が展開することを期待したのですが。。。

オブリクア・ペルー(@ランナー切断から5カ月後)
1か月後には葉の展開が進んでいましたが、いつの間にか、ランナー伸長に成長が変化していました。。。葉数は6枚で、葉の展開から、ランナー伸長に変わるタイミングも分かります。

オブリクア・ペルーランナー伸長に変化(@ランナー切断から5カ月後)
赤矢印から葉を出さずにランナーが伸びる形態に完全に変化しています。
葉の展開とランナー伸長を決める要因
葉の展開とランナー伸長を決める要素に、栽培環境の影響という説があるようです。すなわち、栽培環境が適していると、葉の展開が続きます。そして栽培環境が適していないと、ランナーが伸長して栽培環境の適する場所を探すという考えです。しかし、我が家の2株は、全く同じ環境で育てていますので、株の置かれた環境(温度、日当たり)で、葉の展開orランナー伸長が決まっていないことになります。2株の差は、株サイズ、水苔or土、根張り…etcと、何点かあり、まだ要因特定は難しいです。
今回のランナー切断後の1か月後、5か月後の2株の成長観察から分かったことは、
- ランナー切断後
ランナー切断の刺激に対し、葉の展開が進む - 切断から数か月経過
葉の展開が必ずしも継続しない
株の状態次第で、再び、ランナーの伸長が進むこともあり
となります。うーん、、、結果だけで、理由が分かりません。
この記事を書きながらランナーを眺めているのですが、オブリクアのランナーは、イチゴやオリヅルランのランナーと同じものとはイメージしにくいです。名前はランナーですが、ランナーというよりは、徒長した枝、もしくは、どこかに巻き付くための蔓に見えます。
普通の枝は、枝から葉柄と葉を出しながら伸びていくのに対し、オブリクアのランナーは、葉柄と葉を出すのをやめて、ただただ枝が伸びている状態とイメージしてみます。
Q.なぜ葉柄と葉を出すのをやめるのか?
A.エネルギーを作る必要が無いから
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Q.なぜエネルギーを作る必要が無いのか?
A.土に養分がたくさんあるから
この考えだと、今回の2株の差が理解できます。
土植えの大株は、葉の展開が止まり、ランナーが伸長した>
土中の養分を根から吸えるので、葉でエネルギーを作る必要がなくなった
水苔植えの小株は、葉の展開が継続した>
根から養分を吸いにくいので、葉を展開してエネルギーを作る必要があった
文章に書くと矛盾が無いようにも思います。すなわち、エネルギーの必要性が主要因となり、
- 肥料控えめで、根詰まりするような環境では、葉の展開が進む
- 肥料が多く、根根詰まりしていないような環境では、ランナーの伸長が進む
という仮説になります。仮説が正しいかどうかは、次回のランナー切断時の検証に持ち越すことにします。