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アロイドの斑入り株の選び方
前記事「アロイドの斑入りは茎を見る」の続きです。モンステラ、フィロデンドロンに続いて、今回は、「マドカズラ(モンステラ・アダンソニー)」に絞って、見ていこうと思います。
記事の目的は、前記事と同じです。
質問.欲しい斑入りの株が10株売っていた時に、どのように選びますか?
に対し、
答え.『茎』に綺麗に斑が入っている株を選ぶ
と考える理由について、株の『葉』と『茎』を見ながら紹介します。
斑入りマドカズラ「ハーフムーン」
まず斑入りマドカズラの「ハーフムーン」タイプの『葉』です。ハーフムーン=白斑50%というよりは、白斑30~40%くらいですが、白斑と緑部がくっきり分かれています。
この『葉』を表す『茎』はこんな感じです。葉の表現と同じく、茎も綺麗に緑部と白斑部が別れています。
実は、少し前の茎は、こんな感じでした。白斑と緑部がくっきり分かれておらず、霜降り状に幾条の筋になり、混ざりあっていました。
この茎を見ると、マーブル状の斑入り葉が展開していることを想像しますが、、、。
斑入りマドカズラ「三光斑(マーブル)」
先の「ハーフムーン」の『葉』に、霜降り状に筋状の斑が入る『茎』の比較で、「三光斑(マーブル)」の『葉』の株の紹介です。まず斑入りの『葉』の状態です。
白斑と緑部がくっきり分かれずにランダムに混ざり合っています。白斑と緑部の2色でなく、黄緑色を合わせた3色になっているので、とても賑やかに見えます。この賑やかな三光斑の『葉』を表す『茎』はこんな感じです。
先のハーフムーンの『茎』とあまり変わりません。茎から三光斑は分かりにくいのですが、白斑部と緑部が、幾条にも交錯していることが分かります。
『葉と茎』の関係について、『葉』から『茎』の順番で株を見てきましたが、逆に『茎』から『葉』をイメージする順番でも考え直しますと、2つの表現ができます。
- 霜降り状の『茎』の株は、「ハーフムーン」の『葉』や、ランダムに斑が入る「三光斑(マーブル)」の『葉』が出る
- 「ハーフムーン」の『葉』が出ても、白斑部と緑部がくっきり分かれた『茎』でないと、安定したハーフムーンの『葉』は出ない
同じことを、肯定的に言うか、否定的に言うかが違うだけです。ただ、安定した「ハーフムーン」を確保するための一つの示唆と言えます。『葉』だけ見ても安定な「ハーフムーン」の株は選別できません。『葉と茎』を見ることで、安定な「ハーフムーン」の株の選別可能性が高くなります。
斑入りマドカズラ「ミント」
次に「ミント」と言われるタイプです。先に紹介したランダムな位置に三光斑が入るタイプと似ていますが、斑の入り方の細かさが全然違います。白斑、黄緑斑、緑部の境界がクリアに見えないくらいに混ざり合っています。
非常に細やかに『葉』に斑が入っていることが分かります。この『茎』はこんな感じです。
よく見ると、斑を示すように筋が入っています。が、全体的に黄緑になっているようで、明瞭な白斑部と緑部の区分けが難しいような『茎』です。
斑入りマドカズラ「ロイヤルミント」
次も同じく「ミント」の斑ですが、「ロイヤルミント」と言われている特に珍しいタイプになります。ただ、本芸を示していないようで、何とも分かりにくい『葉』になります。
本芸を示すと、白い点々がもう少しクリアになるようです。この『茎』がこんな感じです。
「ミント」の『茎』は、薄っすら斑入りの筋が見えましたが、「ロイヤルミント」の『茎』はもはや緑一色にしか見えません。
ミントと言われる細やかな斑が入る品種は、『茎』を見て判別するということが、大変難しいことがよく分かりました。この場合は、最初に提起した質問に対する答え:『茎』に綺麗に斑が入っている株を選ぶ、はもはや通用しません。。。『葉』だけで判別するしかありませんので、ただただ綺麗な斑入り葉を見せている株を選ぶに尽きると思います。
斑入りクワズイモ
モンステラ系ばかりの紹介でしたので、最後に、斑入りクワズイモです。まず『葉』の写真です。
非常にわかりやすい霜降り状の三光斑です。そして、この『茎』はこんな感じです。
『茎』も非常にわかりやすいです。斑入りクワズイモの選別時は、『茎』の確認で、株の斑の入り方の素性が良く分かると思います。
斑入りアロイドの茎観察2のまとめ
前記事に続いて、斑入りのマドカズラ、クワズイモの『葉』と『茎』を紹介しました。
通常の斑入りについては、前記事と同じく『茎』を見ることで、斑の入り方が良く分かることを確認しました。しかし、「ミント」と言われる細やかに斑が混じるタイプは、『茎』だけでは選別しにくいことが分かりました。『葉と茎』のダブルチェックで、良い株を選べませんので、きっちり『葉』を確認することで、良い株を選別するのがベターと思います。また、『葉』だけでは完全に判別しにくいので、信頼のおける入手先から株を購入することも大事な点だと思います。
前記事から『葉』と『茎』の関係を紹介しましたが、記事の真の目的は、素性の良い斑入り株の選別だけではありません。『葉』と『茎』をリンクさせて、さらに『茎』から『芽点』の選別までをすることが最大の目的です。斑入り『茎』を用いて、挿し木増殖する時の斑入りの発現は、まず良好な斑が入った『茎』の選別に始まり、次に、斑入り『茎』の中に欲しい斑模様を発現しやすい『芽点』を確認することが大事です。斑入りの『茎』の中の斑入りの『芽点』から成長させることで、高確率に求める斑入り株を増やすことができます。斑入り株の挿し木をする時に、斑入りの『芽点』から芽を出させる大前提として、斑入りの『茎』を選別することの大切さが本記事で分かればよいなと思います。「斑入り枝を使って挿し木したのに、斑無しの株ができてしまった…」なんてことが無いように。