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モンステラ、フィロデンドロン 気根を活かした挿し木(の準備)
前記事「モンステラ フィロデンドロン 挿し木のための気根」の続きです。前記事で、気根の植物としての機能が、挿し木の成功に、とても重要なヘルプになることが分かったと思います(気根付き挿し穂を使うと、挿し木の最重要因子の発根が、最初から発根してスタートしている状態)。今回もまだ気根を活かした挿し木の実践の記事ではありません。気根付き挿し穂を使って、さらに挿し木の成功率を高くする事前準備です。
ちなみに、最近、オークションで落札いただいた挿し穂達です。無事に挿し木が成功しているか分かりませんが、太い挿し穂にきっちり気根付きで出品したので大丈夫と思います。。。
マドカズラ=モンステラ・アダンソニーの気根
気根を生やすモンステラの中で、『アダンソニー(Adansonii)』の紹介です。『アダンソニー』というより、『マドカズラ』という和名の方が分かりやすいかもしれません。
モンステラは、巨大に成長する『デリシオーサ(Deliciosa)』、デリシオーサほど大型化しないけど育て方次第でデリシオーサと見分けにくいほど大きくなる『ボルシギアナ(Borsigana)』が有名です。この代表の2種以外に最近、よく見かけるのが『アダンソニー』です。デリシオーサ、ボルシギアナとの大きな違いは、葉が裂けずに窓のように穴を作るところです。モンステラばかりを見ていると、少し雰囲気が違うので、新鮮に感じます。デリシオーサ、ボルシギアナより断然小さく育てられるので、室内にワンポイントとして飾るのが良い感じです。ただし、デリシオーサなんかは蔓植物といえども太い茎&気根で自立可能ですが、マドカズラは、茎&気根が細いので、自立は難しいです。大きく育てる時は、ヘゴなんかで仕立てることが必須です。
そして、マドカズラにも斑入りがあります。2021年から入手して育て始めていますが、斑入りデリシオーサなんかと比べると、斑がより不安定なように感じます。刷毛込み斑のものや、ミント斑と言われる細やかな斑のものがあるようです。育てているのは一般的な刷毛込み斑のものです。
で、記事のメインの気根はこんな感じです。気根の発生がランダムでなく、節単位であることが分かります。また、上部は細かな気根がたくさん発生するのに対し、下部は太い一本の気根が発生しています。気根とは話がそれますが、茎に斑を表す白い筋がくっきりと見えています。
他のモンステラやフィロデンドロンにも通じますが、極太の気根を一本発生させやすい方法、もしくは、細かい気根を叢生させやすい方法は分かりません。まずは、元気に枝を伸長させることを最優先するのみです。
気根を伸ばす方法、枯らす方法
あらためて、気根の一生は、①茎から気根が発生⇒②空気中の水分を求めて伸びていく⇒③土に到達して土中の水分を求めて(気根でなく)根になる、、、が基本です。ただし、少し細い気根や元気のない気根は、「②空気中の水分を求めて伸びていく」過程で成長が止まって枯れることがあります。下の写真を見ると、枯れてクシャクシャになっている気根や、元気に伸びている気根と色々な気根があることが分かります。
フィロデンドロン「マハラジャ(マハーラージャ)」の気根ですが、赤い矢印が枯れた気根、青い矢印が元気な気根です。枯れた気根は、中身が無くなってペラペラになっています。こうなると、枯れ枝と同じで、何の機能もなく、邪魔なだけです。根元から切り取っておけばよいです。
なぜ気根が枯れるか?ですが、水分を吸えない状態が長く続いたため、そして茎から水分供給されなかったためと推定されます。土中の普通の根が、水をやらないと枯れるのと同じです。空中の気根は、空気中の水分、水やり時に直接かけられる水、水やり時に枝や葉にかけられた水から伝わってきた水を吸って、伸びていきます。空気中の水分だけでは伸びにくいので、実際は、水やりでかけられる水が大きな因子と思います。この水やりでもらえる水が無い状態が続くと、弱い気根は枯れると思われます。写真一番右の青矢印の気根がとても元気に伸びています。この気根は、鉢にかけられる水が伝わった水を確実にもらえるので、綺麗に鉢に沿って伸びています。気根の成長の方法が分かりやすい例です。
マドカズラの気根 成長促進法
気根の伸ばし方、枯らし方を理解した上で、どのようにマドカズラの気根を元気に育てるかです。枯らす最大の要因は、「②空気中の水分を求めて伸びていく」タイミングにあります。枯らさないためには、このタイミングに確実に水をやればよいだけです。要は、通常の気根の成長過程である
①茎から気根が発生⇒②空気中の水分を求めて伸びていく⇒③土に到達して土中の水分を求めて(気根でなく)根になる
ではなく、枯れやすい②を飛ばして、
①茎から気根が発生⇒⇒⇒③土に到達して土中の水分を求めて(気根でなく)根になる
とすることです。
具体的な方法は、気根発生部の枝周りを水苔巻きにします。さすがに気根発生部に土を盛るのは難しいですが、水苔を固めて枝に巻き付けるのは比較的、簡単です。ホームセンターなどではヘゴを支柱に使っていますが、ヘゴより水苔の方が、湿度を保ちやすい点で、気根の生育には有利になります。先ほどのマドカズラに水苔巻きした例です。
背面はこんな感じです。PETボトルを利用しての工作です。あまり綺麗ではなく、要改善項目であります。。。透明で、根の伸長が見えやすいメリットもありますが。
モンステラ「デリシオーサ」のような巨大な枝、巨大な気根には応用しにくいですが、あまり大きくならないモンテスラ「アダンソニー」=マドカズラには丁度良い手法です。
マドカズラの気根 成長促進法のその後
8月末の写真からずっと斑入りマドカズラの成長を追った結果です。もちろん、気根の成長を水苔できっちり促進させてます。
まず1か月後の9月末。水苔の位置から3節ほど伸びています。気根もたくさん叢生してきました。
同じ要領で、水苔&PETボトルを、伸びた枝部分に継ぎ足しました。
正面から全景を見ると、葉が11枚になっていました。
7月に4枚くらい葉数で入手して2か月で2倍以上に葉が増えています。斑の入り方は不安定で特上とは言えませんが、なかなか元気に成長しています。マドカズラを育てたのは今年からなので、一般的なマドカズラの成長速度(節、葉の出し方)をよく知りません。。。ただ、購入した直後のたった2か月で、7節程伸びています。2節で1つの挿し木をするのであれば、すでに3個の挿し木ができるだけの枝が取れることになります。
本業の仕事が忙しくて、しばらく成長観察ができませんでしたので、一気に11月末の姿です。水苔巻&PETボトルカバーはさらに追加しています。
周りの植物が入り込んで見にくいのですが、10月~11月と観葉植物の生育最盛期ではないのですが、さらに枝が伸びています。ちなみに右下のモンステラは、デリシオーサ(マクロコズム)になります。アダンソニーとデリシオーサのサイズ差がよく分かります。
もう一枚、茎のアップの写真です。
「PETボトル&水苔で気根成長を促進させる!」が上手くいってるのかどうかは分かりませんが、とても元気に成長してくれています。正面から見ると、18枚葉が出ています。
気根部分はこんな感じです。来年の初夏には、水苔付きでそのまま切断して挿し木予定です。挿し木というより、取り木のような見た目になってきました。。。
まとめ
モンステラ・アダンソニー(マドカズラ)の気根成長の促進法を試しました。発根した気根を湿らせた水苔で巻くことで、通常の気根に比べて成長促進されて、水苔内に気根が分岐・伸長しているはずです。。。来夏の挿し木時に、枝を切断して、効果を確認したいと思います。
気根のまとめではなく、マドカズラのまとめですが、デリシオーサに比べて、茎の伸長は早く、挿し木本数になる節数が多く取りやすいことが分かりました。斑入りの観点での茎の良し悪しも、斑入りのデリシオーサと同じく、茎中の斑の入り方で事前に判別できそうです。