ヒガンバナ・リコリスを育てる理由
本ブログの最初の記事「ヒガンバナの季節(長州桃花、球磨川)」以来のヒガンバナ、リコリスの記事になります。
2020年の記事から2年経過しました。久しぶりにヒガンバナ・リコリスを書いた理由は、2022年から、真夏の手間がかかりにくい理由で、再びリコリス系の相手をしようと思ったからです。一年を通して庭の植物達の相手をする中で、一番大変な時期は、間違いなく真夏になります。最近、充分に真夏の植物の相手ができなくなる中、真夏に葉が枯れて水切れによる枯死の無い植物として、ヒガンバナ・リコリスに再注目し始めました。彼岸頃に田舎の畦道で咲くヒガンバナ(曼珠沙華)に限らず、リコリスとして見ると、育てやすい園芸植物として色々なメリットがあります。
- 品種が豊富
ヒガンバナ(曼珠沙華)> 数種類の八重咲、桃花・白花と種類が限られる
リコリス> 花色・花形において、多種多様な品種が作出されている - 観賞時期が長い
ヒガンバナ(曼珠沙華)> お彼岸頃に咲くものが多く、開花時期が限られる
リコリス> 真夏の終わりから晩秋までと品種を選ぶことで、観賞時期が長い - 栽培が楽
ヒガンバナ、リコリス>共通して栽培難易度は高くありません。花は咲かないことがあっても、真夏や真冬の栽培中に全滅…なんてことは滅多にありません
(個人的には、多数のネリネを一気に枯らしましたが、ヒガンバナ、リコリスはそのようなことはありません)
ヒガンバナだけでなくリコリスも含めて育てると考えると、1,2年で飽きるような植物ではなく、長く趣味として育てられそうな植物と分かります。
リコリスの簡単な分類
まだまだ勉強中のため、観賞する側としての簡単な分類です。一趣味者として、育てて花を楽しむ観点からの分類です。
まず最も一般的なお彼岸に咲くヒガンバナに当たる種類です。
- リコリス・ラディアータ(Lycoris Radiata)
いわゆる田舎の畦道で咲く赤いヒガンバナ(曼珠沙華)
中国原産で、3倍体のため種子を付けず、分球で増える
【花弁】赤から黒赤で、八重咲もあり
【開花期】9月中旬
【出葉】花後~初夏 - リコリス・アルビフローラ(Lycoris Albiflora)
いわゆる白花ヒガンバナ
ラディアータとショウキズイセンとの自然交雑種
【花弁】白、クリーム色、桃と色の幅があり
【開花期】9月上旬~中旬
【出葉】花後~初夏
次に、日本原産の野草に分類されるものです。
- キツネノカミソリ(Lycoris Sanguinea)
日本原産で、雑木林や里山、神社で見かけられる。お彼岸に咲くヒガンバナに対し、お盆の頃に咲くキツネノカミソリ
名前の由来は、葉が剃刀に似ているからとか
出葉が早春なので、一年の半分以上は葉なし、花なしとなる
【花弁】オレンジから赤、希少種として白花もあり
【開花期】8月
【出葉】早春~初夏
次に、黄色やピンクと言ったカラフルなものです。いわゆるリコリスと言われるイメージに該当する種類です。
- ショウキズイセン(Lycoris Aurea / Lycoris Traubii)
日本南部から中国原産と言われ、大振りで豪華な黄色の花を咲かせる
黄花に変異したヒガンバナではなく、ヒガンバナ科の一品種
【花弁】黄色~山吹色で、花弁が少し波打つ
【開花期】9~10月
【出葉】花後~初夏 - ナツズイセン(Lycoris Squamigera)
薄桃色、ラッパ状の大きな花を夏に咲かせる
ナツ・ズイセン=夏・水仙の名前の由来は、夏に花が咲くことと、球根が水仙に似ていることとされている
【花弁】薄桃色
【開花期】8月
【出葉】花後~初夏 - リコリス・インカルナータ(Lycoris Incarnata)
中国原産の品種
キツネノカミソリと同様に、出葉が早春なので、一年の半分以上は葉なし、花なし
【花弁】薄ピンク・乳白色に桃紫色の筋
【開花期】8月
【出葉】早春~初夏 - リコリス・スプレンゲリー(Lycoris Sprengeri)
中国原産の品種
ヒガンバナ・リコリスの中で花弁に青色が入る珍しい種
インカルナータ、キツネノカミソリと同じく、出葉が早春のタイプ
【花弁】ピンクの花弁先端に青色
【開花期】8月
【出葉】早春~初夏
これらのリコリス科の花の交配、突然変異によって、多種多様なリコリスの園芸品種が作出されているようです。お彼岸に咲くヒガンバナだけを考えると園芸対象として狭いですが、リコリス科で括ると、園芸の対象として興味深くなると思います。最後に簡単に各項目について、まとめます。
リコリス科の花期
リコリス科で見ると、花期は、8月から10月の3カ月。一年12か月の4分の1の期間楽しめる。
- 8月に開花
キツネノカミソリ、ナツズイセン、インカルナータ、スプレンゲリー - 9月に開花
ラディアータ(曼珠沙華) - 10月に開花
ショウキズイセン
曼殊沙華から初めて、ショウキズイセンとナツズイセンの3種を育てるだけで、リコリスを3カ月楽しめます。
リコリス科の花色
曼殊沙華だけでも、基本の赤花、白花ヒガンバナの白花、長州桃花のようなピンクと3色は楽しめますが、リコリス科と広げると、色は増え、複色となります。
- 赤、桃、ピンク、オレンジ
ラディアータ(曼殊沙華)、キツネノカミソリ、ナツズイセン - 白
アルビフローラ(白花ヒガンバナ) - 黄色から山吹色
ショウキズイセン - 複色(薄ピンクに桃紫)
インカルナータ - 複色(ピンクに青)
スプレンゲリー
リコリスの庭を賑やかにするには、ショウキズイセンの黄色と、スプレンゲリーの青色は欠かせません。この2色を取り入れるところから、リコリスの多様な花を楽しむことが始まります。
我が家の最初のリコリス開花「スプレンゲリー系?」
2022年最初のヒガンバナの紹介です。パステル調のピンクの花弁に青を挿す品種です。2020年にも紹介しましたが、入手時に品種名を確認していないため、名称不明です。
先の分類から考えると、花弁の先の青はスプレンゲリー由来と推定されます。そう考えると、開花開始が8月末であることは、スプレンゲリーの開花期の8月に由来していると想像されます。蕾の段階で花弁の先の青が見られて、美しいです。
暫くすると、満開になりました。一輪でも綺麗な花ですが、複数咲くと豪華なプランターになります。
よく観察すると、青の濃淡があります。咲き始めから青色が濃くなり、そして退色していきます。一方でベースのピンク色は大きく変わりません。青が濃い時の花は、こんな感じです。
ピンクに青を差す完全な複色花として綺麗です。開花が進んで青が薄れてきても、ピンクの花として綺麗です。色変化を楽しめる良い花だと思います。そして数日経つと、開花が終了し始めました。
同じ品種を同じプランターで育てていれば、開花期はほぼ同じになり約一週間になります。一年育てて、開花一週間は、作業手間に対して、少し割に合いません…。リコリスは、やはり多品種育てて、長い開花期を楽しむのが基本的な楽しみ方だと思います。