斑入りマドカズラの挿し木
2022年4月の記事「斑入りマドカズラ 挿し木スタート」の続きです。前記事で選別した挿し穂がどのように育ったのかの報告です。ただし、挿し木の生育そのものの報告というより、斑入り株を作るための挿し穂の選別の観点での報告です。4月に挿し木してから、約5カ月が経過しています。
まず前記事の挿し穂写真を再掲します。挿し穂に斑が入っているのは間違いないです。芽点が見えにくいマドカズラにおいて、どのような枝からハーフムーン型の斑入りマドカズラができるのか?どのような枝から三光斑型の斑入りマドカズラができるのか?が興味の対象です。
これが、ハーフムーン期待の挿し穂です。挿し穂の枝に緑部分と白斑部分がくっきり分かれています。以後、ハーフムーン期待Aと呼びます。
もう1つのハーフムーン期待の挿し穂です。こちらはハーフムーン期待Bとします。
続いて、三光斑期待です。こちらは筋状の挿し穂です。三光斑やモンステラ・デリシオーサの「イエローモンスター」のような散り斑になれば良いなーという挿し穂です。こちらを3節ある三光斑期待Aとします。
続いて、2節の三光期待斑Bです。散り斑にならないかなーと念じながら挿し木していました。。。
最後に2節の短めの三光斑期待Cです。枝が短いので挿し木の生育自体には不利かもしれません。
写真には出しませんが、斑入りの期待薄の挿し穂も一応、挿し木しています。成功率の期待値は、ハーフムーン期待A、Bと、三光斑期待A、B、Cでそれぞれ1本出ればまぁー良し!といったところです。
ハーフムーン期待の挿し穂2本の結果
ハーフムーン期待Aの成長を追います。2カ月経過した6月頭の状態です。
斑の無い枝の部分から芽が出ています。そして、全く斑の入っていない枝が伸びています。。。期待薄です。展開した葉はやはり斑無しの葉が2枚続きました。
残念ながら、この枝は切り戻さないと、斑が出る可能性薄ということで、一旦、終了です。くっきり斑の入った挿し穂を用いても、芽点次第で、真緑が出ることの証明です。芽点が見えにくい斑入りのマドカズラを挿し穂の状態で購入することは、リスク大と言えます。
次に、ハーフムーン期待Bです。こちらはハーフムーン期待Aよりは短い枝のため、生育自体は緩慢になることが予想されます。
斑が入っている部分と反対側に出芽しました。。。かなり期待薄に思われました。。。が、期待に反して、見事なハーフムーン葉を展開しました。びっくりしました。
その後の生育状況です。4か月後には複数枚の葉が出ましたが、全て見事にハーフムーンでした。
枝にも注目します。ハーフムーンの緑側、上の写真の下側の枝の様子です。やっぱり緑一色です。葉と枝が対応していることが分かります。
反対側の斑が入っている側の様子です。やっぱり枝に斑が入っています。
2本中の1本が予定通り、ハーフムーン型の斑入りマドカズラになりました。挿し穂の枝の斑の入り方で、挿し木後の斑の入り方が予見できた例だと思います。ただ、ハーフムーン期待Bの出芽のポイントは斑の無い緑部からの出芽でした。挿し穂の斑の入り方より、出芽の位置で、挿し木後の斑の入り方が決まると思い込んでいたので、予想外でした。今後は、安直に緑の位置から芽が出そうだから期待薄…と思いこまずに、挿し穂自身の斑の入り方が良ければ、期待して挿し木しようと思います。
三光斑期待の挿し穂3本の結果
次に、三光斑期待の挿し穂を追います。三光斑というのは、本来の意味として、白斑部、緑部とその中間の薄緑部(葉の表裏の片面だけ斑が入っている)の3色で構成されます。白斑と緑の2色に加えて、中間色の黄緑が加わって三光斑です。挿し穂に三光斑が表れているわけではないのですが、ハーフムーン的にくっきりと分かれていない斑の意味で使っています、、、念のため。
まず三光斑期待Aの生育状況です。
いい感じに三光斑になっています。全く予想通りの感じです。このまま生育を続けて、4.5か月後には、とても綺麗な株になっています。
ハーフムーン期待Bの4か月後に比べて、かなり生育が良いことが分かります。生育が著しく違う理由は、斑の種類、すなわちハーフムーンか三光斑かの違いが主要因とは断言しにくいです。スタートの挿し穂の長さが違いの影響が大きいのでは?と推定しています。三光斑期待Aは3節の10cm弱の長さの挿し穂でしたが、ハーフムーン期待Bの挿し穂は、2節の5cm程度の短い挿し穂でしたので。
枝を見ると、三光斑の葉模様に対応するような枝の模様がよく分かります。
別の角度から見ても、三光斑の枝とは、白斑が枝に細かく混じった枝であることがよく分かります。
節間も詰まっていて、来年にはかなり多数の三光斑の挿し穂が採れそうです。
続いて、三光斑期待Bです。
出芽からの最初の枝の部分を見るとくっきり斑が入っているのですが、葉には斑が表れていません。そして、成長に伴い枝の中の斑が抜けています。
成長した枝の下半分を見ると期待大の枝です。しかし、実際は、斑無し側に一気に変化して、葉だけ見ると全く緑葉です。葉が三光斑のものは枝も細かい斑入りになることは正しいようです。でも、枝が細かい斑入りだから、出てくる葉が常に三光斑とはならないようです。結局、言いたいことは、マドカズラの斑入りは、枝模様だけで判断できず、葉を確認するまでは、完全な判断ができないということになりそうです。この後、期待薄として観察対象から外しましたが、青丸の斑入り部で再度、切り戻せば、充分に三光斑が期待できると思います。
最後に三光斑期待Cです。
1枚目は完全な緑葉です。しかし、2枚目は斑入り葉でした(が、展開した葉の写真は撮り忘れています)。
三光斑期待Bは、2か月で生育確認をやめましたが、三光斑期待Cは4.5カ月まで生育を確認しました。が、残念ながら、どんどん緑葉になるだけでした。
三光斑期待の挿し穂は3本トライして、1本が予定通りの三光斑となりました。まぁー3本育てて1本作れるのなら、良しとします。
斑入りマドカズラ挿し木の生育まとめ
マドカズラの挿し木について、斑の入り方に注目して生育を観察しました。白斑と緑がくっきり分かれたハーフムーン期待の挿し穂の成果は、1本/2本で50%で狙い通りのハーフムーンの株になります。白斑が細かく入り込む三光斑期待の挿し穂の成果は、1本/3本で33%で狙い通りの三光斑となりました。
基本的には、挿し穂に使う枝の斑の入り方と、展開する斑入り葉がリンクする可能性が高いことが再確認できました。一方で、出芽の位置で、斑入り葉を予測することは、マドカズラにおいては、あまり確率が高くない結果でした。挿し穂に使う枝が太く、出芽が大きいモンステラ「デリシオーサ」なんかは、出芽で斑の入り方が予測しやすいのですが、マドカズラは、あまり出芽で決めつけるのは良くないことが、今回の実験で分かりました。
最後の最後に、全く触れなかった斑入り株から採った挿し穂ですが、枝に斑が入っていないものの挿し木結果の紹介です。もちろん全く斑入り葉は展開しませんでした…。『トンビが鷹を生む』とはならないようです。言いたいことは、、、枝に斑が入っていても、斑入り葉が展開しないこともあるのに、枝に斑が入っていなければ、斑入り葉の展開の期待は虚しいだけということです。