ツワブキ 斑入りの葉芸
ツワブキの「中斑」の葉芸の品種が揃ってきました。
中斑の定義は、葉身の中央部に見られる斑のことです。定義上は、斑の発生位置を指す言葉で、斑の色を指しません。ただ、実際に見られる斑の色は、黄緑斑から黄斑の品種が大半で、白斑の中斑の品種は聞かないです。中斑とは別に、葉脈に沿うように葉の外周に向けて刷毛で描いたような斑を見せる「掃込み斑」があります。中斑は、完全な中斑ではなく、中斑をベースに掃込み斑が混じるような品種が多いようです。
ツワブキの斑といえば、一般的に普及された品種の『天星』であまりに有名な「星斑(蛍斑)」や、比較的に普及された品種の『浮雲錦』で見られる白い斑の「白覆輪」「白覆輪くずれ斑」「白掃込み斑」、同じく比較的に普及された品種の『金環』で見られる葉の周囲に綺麗に黄色の環ができる「金環斑」があります。
ツワブキで珍しい斑の入り方で並べると、あくまで私見ですが、、、
星斑<覆輪くずれ斑<掃込み斑<金環斑<<覆輪斑<<<中斑
となると思います。あくまで私見です。。。
今回は、中斑の葉芸をベースに少し珍しい品種の紹介です。
ツワブキ 小田絞り
一番有名な中斑の品種は『小田絞り』と思います。小田絞りは、通年芸で、黄緑から黄色の「中斑」「掃込み斑」を見せます。芸は安定していますが、極まれに斑抜けの芽が出ることもあります(その時は、芽を取り除きます)。
全体写真でも分かりますが、この株はイマイチ、中斑が安定に出ていないです。こちらの葉は、「中斑」に強く「掃込み斑」が混じる感じです。
中斑は不安定ですが、よく見ると、黄緑の斑の色、元の濃緑の葉の色、そしてその中間の緑で、「三光斑」になっています。中斑の品種とされる『小田絞り』が、三光斑を示したり、「中斑」ではなく「掃込み斑」になったりします。完全に芸が確定されずに、葉の変化があるのが、ツワブキの楽しい理由の一つです。
ツワブキ 稲妻
ツワブキの『稲妻』は『小田絞り』と同じく「中斑」の品種です。
同じ芸なので、稲妻と小田絞りは、名前が違うだけで同じ品種なのでは。。。と思っていました。数年前までのめり込んでしたヤマアジサイでは、どう見ても同じ品種が別名というのが多々あり、うんざりします。ヤマアジサイやツワブキは、品種登録が進められている植物種類でないですが、植物を観賞・収集する側としては、望ましいことではありません。
しかし、稲妻は、小田絞りの一歩進んだ良い品種だと分かりました。嬉しい発見です。
まだ3葉の小さな株なので、「稲妻斑?」が分かりにくいと思います。3葉ともに「中斑」は分かりやすく見えます。稲妻斑?は2葉に出ています。なお、、、稲妻斑?は勝手な名づけです(奥野哉著のツワブキには載っていませんでした)。
「中斑」の斑の中に、白い稲妻が走っています。もう少し株を大きくして、芸の安定性、発現する時期を見極めたいと思います。
ツワブキ 竜虎
『竜虎』は、「中斑」に加えて、「縮面」「甲龍」の葉の形状変化を伴う品種です。竜虎の中斑は大変、不安定で、油断したら、中斑が消失して、縮面、甲龍の葉の形状変化のみ示す品種になってしまいます。斑が抜けると、普及種の『竜頭』や『火雲』と大きく変わりませんので要注意です。。。
株姿を見ると、『小田絞り』『稲妻』が全葉に強く中斑が見られるのに対し、中斑の全くない葉も混じっているのが分かります。中斑が強い芽を植え替えのたびに選定していますが、なかなか満足できる安定性はありません。
「中斑」と「縮面芸」を併せ持つ葉をピックアップです。このタイプの葉で、全葉が安定してくれればいいのですが。
こちらは縮面、甲龍の葉の変化が少なくなっています。「縮面」「甲龍」の芸は残りやすい芸なので、選別に優先しません。「中斑」の強さを芽の選別の最優先項目とします。この葉は、残すべき葉(芽)です。
ツワブキ 中斑+星斑?
最初に紹介した『小田絞り』の一つの葉に「中斑」と「星斑」の混ざった面白い葉がありました。
「中斑」は遺伝性のないキメラ斑で、「星斑」は遺伝性のある非キメラ斑と言われます。両者の混成が維持されれば、稀少な芸になります。しかし、一葉のみで、同じ芽の次の葉は、普通の中斑の『小田絞り』の葉でした。。。残念。
ヤツデ 叢雲錦
植物種類が変わりますが、中斑で有名なヤツデ『叢雲錦』をついでに紹介まで。。。
この中斑は、大変安定しています。新葉の瑞々しさが感じられる綺麗な葉です。ヤツデは、叢雲錦を含め、多くの品種はないのですが、ツワブキと比べて育てるのが容易な良い庭木だと思います(もちろん鉢植えでも十分に大きくして楽しめます)。ただ、ツワブキで見られる多数の形態変化芸は、ヤツデでは見られません。いかにツワブキが斑入りと形態変化芸を併せ持つ品種が多数ある、とても観賞価値の高い植物であることがよく分かります。