パッションフルーツ

パッションフルーツの挿し木|2020年夏

パッションフルーツにおける挿し木の重要性

 パッションフルーツの挿し木の紹介です。2020年晩夏の記事になります。ベランダガーデニングにおけるパッションフルーツの魅力は「パッションフルーツの紹介|2020年夏」をご参照ください。
 パッションフルーツは、中南米を中心に自生する熱帯から亜熱帯植物です。一年草ではなく、多年草として、パッションフルーツを長い間楽しむためには、耐寒性を考えた冬越しが最も重要になります(パッションフルーツを始めとする冬越しが難しい植物のまとめ記事「耐寒性・冬越し」もご参照ください)。パッションフルーツの挿し木は、冬越しのための簡単で効果のある保険的手法です。今回は、パッションフルーツ「サマークイーン」の2020年8末の挿し木の実践録です。

パッションフルーツの挿し木の検討ポイント

 ブログの重要テーマの挿し木の考え方は、パッションフルーツより数段、難易度が高い「ピーマンの挿し木」の記事で詳細を紹介でしています。多種類ある挿し木のパラメータの中で、今回の関連する挿し木の項目を列記します。

  • 植物種類・・・パッションフルーツで品種はサマークイーン
  • 時期・・・8末(適期ではない)
  • 挿し穂の位置・・・天挿し/管挿し(新つるが長く伸びやすいので採りやすい)
  • 挿し穂の長さ・・・短め/長め
  • 水揚げ・・・メネデール使用(3日の水揚げで事前選定)

 パッションフルーツは、つる植物で、グリーンカーテンに使う位、成長が旺盛です。挿し木できる最もポピュラーな植物のアジサイに比べて、挿し穂の準備が大変簡単です。ただし、たくさんの挿し穂を作るだけ、土の準備を含む手間は増えます。必要数だけ確実に作れるように、成功確率の高いパッションフルーツの挿し木の方法を明確にします。
 今回は、残暑厳しい8月の挿し木の成功率の明確化がポイントです。パッションフルーツで8月の挿し木ができることは、第2の開花期の9~10月に備える無駄な枝の剪定を兼ねられるメリットがあります。挿し木のために、植物の花や果実を犠牲にすることは、植物を楽しむ上で本末転倒です。植物の花や果実を楽しむと同時に、挿し木で増やせるのがベストな流れと思います。挿し木の最適期の梅雨時に花後の剪定をして、剪定で発生した枝で挿し木をするアジサイは、まさにこの流れだと思います。

パッションフルーツの挿し穂の選別

 パッションフルーツはつる植物であり、新しい枝がたくさん長く伸びるため、挿し穂の準備は容易です。今回は、「8月末の挿し木の適期でない時期」と「品種のサマークイーン」を共通の検討条件に、挿し穂の位置、長さの影響を比較検討したいと思います。
 検討に使用する挿し木は、4種類です。天挿し、3種類の長さの管挿しです。評価数は各5本になります。

天挿しー10cm長ー3~4節

 つるの先端の天挿しです。つる植物ゆえに、アジサイの天挿しと比べても、枝がかなり柔らかめです。天挿しの挿し木成功時のメリットは、開花が早く望めることです。節間が短いので、約10cmの長さで、3~4節を含みます。

パッションフルーツ-挿し穂-天挿し

パッションフルーツ挿し穂の天挿し

管挿しー5~8cm長ー2節

 管挿しで2節分、長さを短め5~8cmにしたものです。挿し穂の取得が容易なパッションフルーツで、短い挿し穂を使う大きなメリットはありません。5cmの長さだと、土中の挿し穂長さが短くなり、挿し穂の土中での固定が難しくなるデメリットがあります。今回は、挿し穂の長さの成功率への影響の確認が目的で、長さ3水準の中の短い水準になります。

パッションフルーツ-挿し穂-管挿し

パッションフルーツ挿し穂の管挿し(短め)

管挿しー10~12cm長ー3節

 管挿しで3節分、長さを10~12cmにしたものです。節数に加えて、土中への固定も考えると、挿し木に妥当な長さです。挿し穂の長さの成功率への影響の確認するための長さ3水準の、中央の水準になります。

パッションフルーツ-挿し穂-管挿し

パッションフルーツ挿し穂の管挿し(普通)

管挿しー14~18cm長ー3~4節

 管挿しで3~4節分、長さを14~18cmにしたものです。今回は、挿し木に使うポットとしては大きめの4号ポットを使用しますが、ポット内の固定には注意が必要になります。普通に考えると、固定が面倒なだけで、メリットはありません。挿し穂の長さの成功率への影響の確認するための長さ3水準の、長めの水準になります。

パッションフルーツ-挿し穂-管挿し

パッションフルーツ挿し穂の管挿し(長め)

パッションフルーツの挿し穂の水揚げ

 挿し木は、枝・葉のカット後の植え付け前に水に漬けて、水揚げをします。水揚げは活力剤のメネデールのx50倍の液を使います。
 水揚げ時間は、一般的には数時間とされます。ただし、挿し穂は、水揚げ後に土中に埋められてから、最初は常に湿った土中で維持されます。挿し穂の湿った土中状態に耐えられるかを事前確認するために、1日以上の水揚げをします。水揚げ段階で、湿った土中に挿してから枯れる可能性の高い枝を、さっさと選別して除外できます。今回は、3日間、水揚げして事前選別しました。4種類の水揚げ後の状態です。

【水揚げ2日後】天挿しー10cm長ー3~4節

 2日後の時点で、5本すべてが軟化し、腐ってしまいました。水分量が多い天挿しの枝は、水揚げ時にすぐに腐りやすいです。比較に下段に置いた緑色を保つ枝に比べると、緑色から茶色が混じった色に変色しています。葉も溶けて無くなっています。

パッションフルーツ-挿し穂-天挿し-水揚げ

挿し穂の天挿し(水揚げ2日後)

 天挿しと管挿しとの比較では、長時間の水揚げ時に除外されない枝で挿し木しても、天挿しの方が枯れる確率が高いです(同じ管理で、土中に挿した後に天挿しだけ枯れたアジサイの一例「アジサイの天挿し失敗」)。増やすことを主目的と考える挿し木では、『天』挿しで成功したい強い目的がありません。『管』挿しで成功率が高ければ、迷わず『管』挿しを選びます。『天』挿しにこそ適した挿し木手法があると思いますが、現時点では、『天』挿しにベストな挿し木手法を追及していません。

【水揚げ3日後】管挿しー5~8cm長ー2節

 管挿しの最も短い挿し穂の水揚げ3日後になります。天挿し同様に、こちらの5本も軟化し、腐り始めており、NGと判断します。
 天挿しほどの顕著な茶色の変化はありませんが、カットした直後の緑色は残っていません。同じ3本の枝でも、水揚げ2日後の上の写真の下段の3本と、水揚げ3日後の下の写真を比べると、差は歴然です。たった1日長く水揚げした3日後の下の写真の枝の方が、茶色が強く表れています。

パッションフルーツ-挿し穂-管挿し-水揚げ

短い挿し穂の管挿し(水揚げ3日後)

【水揚げ3日後】管挿しー10~12cm長ー3節

 管挿しの標準的な長さの挿し穂の水揚げ3日後になります。やはり、こちらの5本も軟化し、腐り始めており、NGと判断します。右側の2本は、枝の下方が茶色に変色し、上方が緑色を保っており、軟化・腐食が枝の切り口の下方から侵食しているようです。

パッションフルーツ-挿し穂-管挿し-水揚げ

挿し穂の管挿し(水揚げ3日後)

【水揚げ3日後】管挿しー14~18cm長ー3~4節

 最後に最も長い枝の14~18cm長の挿し穂の水揚げ3日後の結果です。右から2本目の切り口付近が少し茶色に見えますが、おおむね緑色の枝の色を保っていますので、水揚げによる選別OKと判断します。

パッションフルーツ-挿し穂-管挿し-水揚げ

長い挿し穂の管挿し(水揚げ3日後)

 挿し穂種類4種、計20本を準備しましたが、長い挿し穂5本のみを土に挿すことにします。推測になりますが、水揚げ時に腐った15本は土に挿していても枯れている可能性大と考えます。15本分の無駄な土、無駄な手間を使わなくて済んだと考えます。

パッションフルーツの挿し木開始

 今回のパッションフルーツの挿し木の開始時点のまとめです。
 共通検討条件は、使用した枝は、『パッションフルーツ「サマークイーン」』で、挿し木時期は、『残暑が残る8末』です。
 比較検討条件は、挿し穂の状態で、『天挿し』、『短めの管挿し』、『普通の管挿し』、『長めの管挿し』の4種類、各5本で、検討総数は20本です。

検討ポイント

 『挿し穂の位置』『挿し穂の長さ』『挿し木の時期』の3点がメインの検討ポイントです。パッションフルーツは挿し木例が多々ある植物です。挿し木が成功するのは当然であり、高い成功率で、無駄な手間を最小限化する方法の明確化が目的です。

水揚げ3日での検証結果

 挿し穂を土に挿す前の水揚げ3日間で選別した結果、天挿し、短めの管挿し、普通の管挿しの3種は、挿し穂が茶色に変色して腐ったため、土に挿す前にNGとしました。土に挿す挿し穂数は、20本数5本のみとなります。
挿し穂が腐る主要因は、夏の高温で水が腐りやすいことと、枝中の植物組織の水への溶出が多いことと推察されます。枝が柔らかい=枝中の組織が未成熟な天挿しが、最も軟化・腐食が大きかったことは理解しやすいです。枝の長短で著しい差が出た理由は、すぐに明言しにくいです。枝の硬さに影響する挿し穂を採った枝位置を検討ポイントに加えて、再トライして明確化したいと思います。

挿し木の開始

 水揚げで選別された「長めの挿し穂5本」を土に挿しました。挿し木に使用した土は、鹿沼土の小粒になります。鉢は4号スリット鉢です。

パッションフルーツ-挿し木-管挿し

パッションフルーツの挿し木

 土への挿し方は、長い枝が十分に土中に埋まるように、土表面に直角ではなく、斜めに挿しています。土に挿す時の注意点は、枝の固定です。少し極端な例になっていますが、斜めの枝の上から2節目の位置が、鉢の縁に乗せられて動きにくいようにしています。

パッションフルーツ-挿し木-管挿し

挿し木の状態(長枝のため斜めに挿す)

 写真には入っていませんが、たまたま残っていた同じ条件「管挿しー14~18cm長ー3~4節」の1本を追加しましたので、評価数はN=6本になります。

まとめ

 挿し木の成功を、『水揚げによる事前選別で腐らないこと』と『土に挿してから根付くこと』の2段階で考えます。
 今回は、『水揚げ選別』で成功率は、評価総数20本中でOK5本の25%の低い成功率です。ただし、「管挿しー14~18cm長ー3~4節」では、評価5本中OK5本の100%の成功率です。比較検討での歴然の差から、現時点の知見は、パッションフルーツ「サマークイーン」の8月の挿し木は、管挿しで14~18cmの長い挿し穂を使用することです。
 水揚げで挿し穂20本が全滅したら、共通条件の「残暑厳しい8末」「品種のサマークイーン」の2点が強く影響したと簡単に結論付けられます。しかし、長い枝は100%の確率で、水揚げ選別をクリアしましたので、そう単純ではありません。この点は、挿し穂の枝の硬さ(伸びる先端からの距離⇒先端から遠いほど硬い)も検討ポイントに入れて、再トライする予定です。

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