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パッションフルーツの冬越し(耐寒性)
2021年のパッションフルーツの冬越し状況の結果です。別記事(ストレリチアの冬越し比較,常緑アジサイ「八丈千鳥」の冬越し)にも書いた通り、2021年1月の寒さは大変厳しく、いくつかの植物が大ダメージを受けました。パッションフルーツも大きなダメージを受けたのですが、同時に冬の管理場所に対する大きな違いが分かったので、その報告です。
まず基本情報ですが、観葉植物と同様にパッションフルーツの冬越しは、基本的には屋内管理が必要になります。観葉植物は屋内管理で部屋に入れていても、株姿・葉を楽しめますが、残念ながら、冬のパッションフルーツの株姿・葉は楽しめる要素が全くなく、見苦しいといしか言いようがありません。
ただし、パッションフルーツの植物としての耐寒温度は3~5℃と言われており、耐寒性が全くないわけではありません。屋内管理がマストではなく、「暖地では屋外管理が可能」、「品種によっては屋外管理が可能」と言われ、屋内か屋外かが、迷うところです。。。天気予報を確認して、氷点下になりそうない日は屋内に動かそう、、、今年は厳冬予想なので屋内で管理しよう、、、のように柔軟に細やかな管理ができればもちろんベストですが、実際は面倒かと思います。
パッションフルーツの冬越し実験 ~保管場所影響~
今回、パッションフルーツの2021年の冬越しを保管場所を変えて管理し、冬越し後の3月末の状況を調べました。実験条件は、下記のとおりです。
- 共通条件
- 品種:サマークイーン
- 株サイズ:2020年夏に果実を収穫した成長株(挿し木した小株ではない)
- 管理開始時期:2020年12月中旬(12月中旬までは一律で屋外)
- 検討した保管場所(各1株で3水準)
- ①屋内管理(リビング):日当たり良好、最低気温10℃程度
- ②屋内管理(玄関内):日当たり悪、最低気温:5℃程度
- ③屋外管理(玄関先):半日陰・風なし、最低気温0℃程度(厳冬)
- 過去知見(別記事「パッションフルーツの紹介」)
- 品種影響:サマークイーンは、黄果皮ジャンボと赤紫果皮ジャンボより耐寒性強
- 管理場所:サマークイーンは、通常の冬では屋外管理(玄関先)で枯死せず
品種名「サマークイーン」の耐寒性は、過去の品種比較実験の結果からも、比較的、高い部類になります。しかし、2021年は厳しい寒さでしたので、厳冬期の管理方法として、3つの場所を比較して差異を確認しました。実験スタート時の株姿の写真を忘れてしまいましたが、3株とも場所移動させる前は、縦横に長い蔓を伸ばしている状態で、どれも生育状態は良好でした。蔓の長さを最大2m程度に切り戻して、支柱に巻き付けてから場所を移動させました。
パッションフルーツの冬越し実験結果@3月末
途中経過なくいきなりですが、冬を越して初春の3月末になります。
③屋外管理(玄関先)の結果
まず最も厳しい場所と言える③屋外管理(玄関先)です。2021年1月には確実に0~2℃程度に下がった日が数日ありました。
株元を拡大した写真を追加します。
枝が茶色になり、枯死していることが分かります。手で曲げると、パキっと折れます。枯死している証拠です。。。2019~2020年の冬は、この屋外管理(玄関先)で、無事に冬を越しましたが、2021年1月が氷点下が数日続く厳冬で、風当たりがなく温度が安定な玄関先でも冬を越せませんでした。
②屋内管理(玄関内)の結果
次に、屋内管理ながら、玄関内で、日当たりが悪く、温度も5度程度までに下がる場所です。
株元を拡大した写真を追加します。
2枚目の写真が分かりやすいですが、左側に伸びた枯死した茶色の枝もありますが、緑緑した生きた枝が残っています。緑の枝先には芽吹きも見えます。
①屋内管理(リビング)の結果
最後に、一番ぬくぬくと育った日当たり良好で暖かいリビングで冬を越した結果です。冬越しと言っても、冬の屋外の気温には一度も晒されていません。
冬ですが、最低気温(室温)が10℃程度に保たれ、日当たりも良好な恵まれた場所です。当然、冬を越せるのは分かっていましたが、見ての通り、驚くほど元気な状態で冬を越しました。葉も殆ど落とすことなく、葉色の変化も殆どなく、緑葉を保っています。大事な生活空間のリビングを占有してしまいましたが、これほど元気に冬を越せるとは思っていませんでしたので、新発見です。
パッションフルーツの冬越し管理場所まとめ、その後の確認項目
パッションフルーツ「サマークイーン」について、厳冬の2021年を3つの保管場所で、冬越ししました。分かったことは2点です。
- 冬を枯死させずに生き延びさせるには、5℃程度は必要
- 10℃程度の暖かい環境と日当たりを保てば、落葉せずに青々とした状態を維持
ただし、パッションフルーツの最大の目的は、冬越しではなく、たくさんの美味しい果実を作って食べることです。このまま生き延びた2株は屋外管理で今夏も育てていきます。スタート時点の株状態は歴然と違いますので、この後の生育・果実数に影響を与えるかも確認します。
もし、どちらの株もスタート時点の株姿に影響なく、夏には同程度の成長になるのであれば、わざわざリビングで冬を越さなくても、とにかく生き延びさせれば良い!という結論になります。
しかし、元気にリビングで冬を越したパッションフルーツの株の生育・果実数が良好であれば、リビングを使ってでも、元気に育てた方が良い!というのが結論になります。
さらに、挿し木1年生の株も追加で比較します。別記事(パッションフルーツの挿し木~1か月後~)にも書いた挿し木株をリビング内で冬越ししたものです。
少し生育に差がありますが、どちらも元気です。リビング保管なので、元気に冬を越すのは間違いないですが、特に右側の挿し穂が長い方の株の生育はかなり元気です。この挿し木1年生も比較対象です。
もし、元気に冬を越した大株と比べて、挿し木1年生が、夏には同程度に成長し、果実数も同じくらいであれば、大株を無理に冬越しさせる必要なく、小さい挿し木で毎年更新すれば良いことになります。
パッションフルーツの育て方の重要なポイントは冬越しと果実数です。引き続き、冬越しの方法とリンクした果実数の実験をすることで、省スペースで手間数を減らして、パッションフルーツを楽しめる一年を通じた育て方を明確化したいと思います。