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パッションフルーツの開花期
パッションフルーツの前記事「パッションフルーツの冬越し(耐寒性) 保管場所比較」から無事に夏を越して9月になりました。パッションフルーツの2回の開花期(1回目:初夏6月 2回目晩夏~初秋の8月末~9月)を超えて、2021年の開花情報を取得したので、その紹介です。
仕事をしながら、家族の協力を得ながら、の開花確認(=受粉作業)なので、正確に定量的に評価できていないですが、パッションフルーツを最大限楽しむための生育サイクルの理解のためです。共通条件のパッションフルーツの品種は、サマークイーンです。サマークイーンは、食用として優れた品種で、自家受粉で果実を実らせやすい、優秀な品種です。
開花サイクル<大株=元気に冬越しした充実株>
まず元気に冬越しした充実株の基本的な開花サイクルです。充実株のイメージは、前の記事にも示した通りです。

パッションフルーツ『リビング保管』冬越し成功@3月末
- 第1ピーク:初夏6月
枝を旺盛に伸ばし、生育が盛んになる6月の梅雨頃に1回目の開花のピークを迎えます
7月、8月も開花するような記載が多いですが、サマークイーンを育てている限りでは、6月に明らかなピークを迎えます
7,8月は咲いても少数です⇒わざわざ受粉するのが面倒です…
・・・・・受粉成功時は2か月後の8月に美味しい果物を食べられます
・・・・・真夏に美味しく食べられます
・・・・・7,8月の遅れた花も初秋に美味しく食べられます - 第2ピーク:初秋9月
第1ピークから盛夏を超えた株になっています
必然的に、第1ピークより株姿・枝数を大きくして、多数の開花を迎えます
⇒多数の花の中で受粉忘れが無いか注意します!
・・・・・受粉成功時は2か月後の11月に美味しい果実を食べられます
・・・・・秋に美味しく食べられます
・・・・・10月の遅れた花は、晩秋までに充実せずに美味しく食べられない時もあり
2回の開花ピークがありますが、1回目のピークに比べて、2回目のピークの方が花数が多くなります。7,8月を肥料を与えて大きく成長させることで、株が間違いなく大きくなるので、当然です。
1回目の開花ピークの花は、ちょうど真夏の8月頃に食べられます。トロピカルフルーツを真夏に食べられて良い感じです。ピークに遅れた花も少し遅れて初秋には食べられます。2回目の開花ピークの花は、必然的に遅れて、11月頃に食べられます。こちらも美味しく食べられますが、開花が遅れた花は、熟すのが間に合わずに、食べられない可能性があります。そのまま春まで待てば食べられるらしいですが、冬越し準備で枝を剪定したりすることもあり、現実的には面倒だと思います。少ない果実を熟させるために枝の整理が遅れて、大事な冬越しに失敗したら、本末転倒です。
開花サイクル<小株=冬越し失敗株、挿し木1年株>
次に、小株、すなわち冬越しに失敗した株や、挿し木1年株のような若い株です。こちらも前の記事に示した通りです。

パッションフルーツ『玄関内保管』冬越しギリギリ成功@3月末

パッションフルーツ(挿し木株)『リビング保管』@3月末
- 第1ピーク:初夏6月はなし
枝を旺盛に伸ばし始めますが、開花には至らない可能性大です
パッションフルーツは、ある程度の大株(充実した枝)にならないと開花しません - 第2ピーク:初秋9月
盛夏を超え、大きく成長して、初めて開花ピークを迎えます
小株でも冬越し成功の大株と同じくらい大きくなって、多数の開花が見られます
⇒多数の花の中で受粉忘れが無いか注意します!
・・・・・受粉成功時は2か月後の11月に美味しい果実を食べられます
大株に比べると、初夏の生育が追い付かずで、6月の第1ピークの開花が殆どありません。せいぜい数輪咲いたら良いくらいです。しかし、9月の第2ピークの時には、冬越し後の貧弱な株状態を忘れるくらいに生育し、多数の開花が見られます。
パッションフルーツの開花数チェック 2021年6月(第1ピーク)
では、2021年の実際の開花数を確認します。まず6月の第1ピークです。サンプルは、大株A、大株Bと小株A、小株B、小株CのN=5です。
株種類 | 6月 | 7月 |
大株A (室内冬越し株) |
8日ー4個 9日ー3個 10日-3個 11日-3個 12日-1個 |
0個 |
大株B (室内冬越し株) |
8日ー2個 9日ー3個 10日-3個 11日-2個 |
0個 |
小株A (屋外冬越し失敗株) |
0個 | 0個 |
小株B (挿し木1年生) |
0個 | 0個 |
小株C (挿し木1年生) |
0個 | 0個 |
感覚的には分かっていましたが、数字を見ると明確です。大株の開花は、細く長く咲き続けるのでなく、一週間のピークに一気に開花が集中します。小株は全く咲きません。もしかしたら一輪の開花くらいは見逃しているかもしれませんが、多数の花が咲いていないことは間違いないです。都合よく考えると、開花ピークを逃さずに注目すれば、一気に受粉を済ませ、果実をならせられます。都合悪く考えると、開花ピークを忘れていたら、1シーズンに2回の貴重なピークの1回が無為になります。
パッションフルーツの開花数チェック 9月(第2ピーク)
次に、2021年の9月の第2ピークです。サンプルは同じく、大株A、大株Bと小株A、小株B、小株CのN=5です。9月時点では、冬越し後の姿で小株としている小株A、小株B、小株Cも大きく枝を伸ばし、立派なグリーンカーテンの一部となっている充実ぶりです。
株種類 | 8月 | 9月 |
大株A (室内冬越し株) |
0個 | 3日ー3個 4日-3個 5日-4個 6日-4個 7日-4個 8日-5個 9日-3個 10日-2個 11日-2個 24日-2個 25日-2個 26日-1個 |
大株B (室内冬越し株) |
0個 | 4日-3個 5日-4個 6日-3個 7日-4個 8日-3個 9日-3個 10日-2個 11日-2個 24日-1個 25日-2個 26日-1個 |
小株A (屋外冬越し失敗株) |
0個 | 4日-2個 5日-3個 6日-3個 7日-4個 8日-3個 9日-3個 10日-2個 11日-1個 |
小株B (挿し木1年生) |
0個 | 5日-1個 6日-2個 7日-2個 8日-3個 9日-2個 10日-1個 |
小株C (挿し木1年生) |
0個 | 5日-1個 6日-3個 7日-3個 8日-3個 9日-2個 10日-1個 |
やはり第2ピークも明らかに開花期間が集中します。第1ピークよりは長く、10日程度のピーク期間です。小株の3株も開花しますが、比較すると、やっぱり元気に冬越しした大株には開花数で劣ります。元気に冬越しした株は、毎日伸びた枝の蕾が開いていく感じでとても楽しみです。ただし、スズメバチもたくさん寄ってきて少し危険を感じることもありましたので、ご注意を。開花総数は明らかに第1ピークの6月より多いです。パッションフルーツに限りませんが、当然、大きく育った株の方が、たくさん花が咲くということです。
古株の大株は9月上旬のピークから外れて、9月下旬に少し開花が続きます。しかし、挿し木株では咲いておらずで、花の総数は多くありません。もしかしたら10月にも少数、開花するかもしれません。ただし、10月開花を果実にまで結びつけるのは難しく、あまり嬉しい開花ではないです。。。
パッションフルーツ開花数のまとめ
パッションフルーツ「サマークイーン」の2021年の開花数を、
- 開花ピーク時期
・・・6月の第1ピーク
・・・9月の第2ピーク - 株サイズ
・・・大株(冬越し成功の充実株 N=2)
・・・小株(冬越し失敗株、挿し木株 N=3) - 共通条件
・・・品種はサマークイーン(自家結実性)
でまとめると、下記になります。
6月の第1ピーク | 9月の第2ピーク | |
大株 | 12(輪/1株) 4-5日間 |
31.5(輪/1株) 8-9日間 + 3日間 |
小株 | 0(輪/1株) | 15(輪/1株) 6-7日間 |
開花数自体は、育てている株サイズの影響があるので参考程度とします。今回の結果で、明確になったことをまとめます。
- 「冬越しに成功した大株×9月の第2ピーク」が、パッションフルーツ1年を通じての開花ピーク
- 「挿し木の小株」「冬越しに失敗した小株」では、6月の第1ピークの開花が難しく、9月の第2ピークに開花
- 開花数は、株サイズに依存
株サイズが最大化する夏超し時の9月の第2ピークが最も多い - 開花時期は、第1ピークで5日間、第2ピークが9日間の連続開花
ピーク期間を逃すと開花数は激減
一番顕著に感じることは、開花数は単純に株サイズに依存することです。やはり冬越しさせて株を大きくしていくことが大事です。パッションフルーツは植物の寿命が最大10年程度と言われます。毎年挿し木で株数増で開花数を増やすより、冬越しを成功させた元気な株で、1株当たりの開花数を増やすのがベストな育て方と思います。
もう一つは、開花ピークを持つことです。毎日、少しずつ咲く咲き方ではありません。分かりやすい蕾ができるので、蕾を確認したら、開花に備えて準備がマストです。ピークの1週間を逃すと、残りの期間には殆ど咲きません。多数の枝にまばらに咲くのではなく、充実した枝に連続して複数の蕾をつけやすいです。

パッションフルーツ「サマークイーン」の蕾3個

パッションフルーツ「サマークイーン」の蕾(開花寸前)
開花にピーク期間を持つことは、育てる品種選定に対し、重要な影響があります。今回、自家受粉可能なサマークイーンを使っているので、開花した花同士で受粉させて果実を着果させられます。しかし、他家受粉で着果する品種だと、開花ピーク期間を受粉可能な2品種でそろえる必要があります。すなわち、花だけでなく果実まで楽しむための難易度がかなり上がります。品種特性を熟知して開花ピーク期間を合わせる、大株に育てて開花期間を長くする等、たくさんの注意をしないと、多数の着果(果実)を楽しむのは難しいと思います。
開花数を考えたパッションフルーツの育て方
パッションフルーツの開花について、株サイズに影響することと、明確なピーク期間を持つことを2021年の開花情報から確認しました。2021年の結果を基に、来年2022年は挿し木株を増やして育てることはせずに、大株でたくさんの花を狙います。引き続き、検討したいことは、
- 開花しやすい枝の特徴
・・・どのような枝で開花しやすいか? - 品種の影響
・・・開花しやすい品種は? - 受粉成功率の最大化
・・・開花数=着果数にできないか?
1年に1つずつでも明確化して、余計な検討項目を減らして、最小限の手間で、最大限の成果(果物)を楽しみたいです。しかし、まだまだ検討事項は多数です。。。来年は、特に「開花しやすい枝の特徴」を明確化したいです。短果枝で花芽をつける『梅』、旧枝咲きで当年に伸びた枝に花をつけない『アジサイ』のように、植物毎に花芽をつけやすいルールがあります。パッションフルーツの花芽をつけるルールを理解して、グリーンカーテンにするための「ただただ伸ばしていくだけ」の剪定ではなく、たくさんの果実を楽しむための「開花を促進させる」剪定を理解したいと思っています。
最後に、、、数えた花がどのくらい果実になったか?です。もちろん100%ではありませんが、50%以上は無事に結実させて、果実を味わっています。さほど悪い着果数ではないと思います。とりあえずは、着果数を大きくすることよりは、開花数を増やすことを優先すべきかなというのが感想です。

パッションフルーツ「サマークイーン」の果実(6月開花)

パッションフルーツ「サマークイーン」の果実(6月開花)