パッションフルーツの挿し木の開始状態の確認
パッションフルーツの挿し木の1か月後の観察です。2020年9月の記事になります。挿し木開始時の記事は、「パッションフルーツの挿し木|2020年夏」をご参照ください。
挿し木開始の条件は、
- 共通条件
- 挿し木時期:残暑厳しい8月末・・・挿し木の適期ではない
- 品種:サマークイーン
- 検討条件(各5本で4水準)
- 挿し穂位置:枝先の天挿し/枝途中の管挿し
- 管挿しの挿し穂の長さ:短い(2節、5~8cm)/中間(3節、10~12cm)/長い(3~4節、14~18cm)
挿し木開始時の水揚げ3日間による(土に挿す前の)選別結果は、
- 挿し穂の位置:天挿しは全滅(5本中5本枯死)
- 挿し穂の長さ:管挿しの短い枝、中間の枝はどちらも全滅(5本中5本枯死)
管挿しの長い枝はすべてOK(5本中5本OK)
となり、検討本数20本の中で、土に挿した挿し穂数は、長い枝6本(検討に用いた5本に、余っていた長い枝1本を加えた合計)のみです。
残暑厳しい時期で、挿し木の適期でないですが、枝の長さに対する差異は明確に見られました。水揚げ3日間で、天挿し、管挿しの短い枝、管挿しの中間の枝の3種は、評価5本が全滅です。管挿しの長い枝は5本ともに生き残りました。原因明確化は必要ですが、この時点での知見は、真夏の暑い時期のパッションフルーツの挿し木は、14~18cmの長い枝で挿し木をすることになります。
パッションフルーツの挿し木の1か月後
6本の挿し木の1か月間の観察です。8月29日に土に挿し、6日後、11日後、20日後の状態です。
特定の枝で、まず葉が落ち、次に緑色の枝の下から茶色に変色していくのが分かります。20日後には6本のうち、挿し木直後と同じ状態を保っているのは2本だけです。茶色に変色した枝を抜いて観察すると、白カビが生えて腐っているように見られます。
おそらく「パッションフルーツの挿し木|2020年夏」で紹介した水揚げ時に枯れた枝と同じような状態と推測されます。水揚げ時の状態で健常な枝を使用しましたが、残念ながら、結果は6本中2本のみ生き残りです。1か月後判断の成功率は33%と低く、多数の挿し木株を作る場合は、あまりリピートしたくない結果でした。
パッションフルーツ挿し木のまとめ
今回のパッションフルーツの挿し木検討(最初の挿し穂選定~挿し木1か月後判断)の結果をまとめます。
検証したい目的
- 真夏8月での挿し木成功率の確認
- 適切な挿し穂の選び方(天挿し/管挿し、管挿し長さ:短い/中間/長い)
検証方法と結果
- 水揚げ3日間の土に挿す前の判定
⇒天挿し、管挿しの短い枝・中間長さの枝は全滅
⇒管挿しの長い枝(3~4節、14~18cm)は5本中5本OK - 土に挿してから20日後の挿し穂の状態
⇒管挿しの長い枝6本中、2本のみ健全な状態を維持
⇒残り4本は水揚げ時のNG状態と同様に茶色に変色
水揚げ時にOKな挿し穂を土に挿しても、1か月後の成功率は33%。挿し木する手間を考えると、今回の条件は推奨できず。
トライする場合は、3~4節・14~18cmの管挿しの長い挿し穂を、欲しい株数の3倍の数で挿し木するべき。水揚げ判断での比較結果として、挿し穂は、管挿しの長い枝(3~4節、14~18cm)の方が成功率は高い。
結果推察と次回の検証
NGとなる主要因は、暑い時期の水質変化が要因と思います。すなわち、挿し穂の水揚げ時、土に挿してから根付くまでの開始時に、挿し穂の切り口に常に接触する水が腐りやすい(雑菌が繁殖しやすい)ために、切り口に近い下方から枝が茶色に変色していったと推定されます。挿し穂が長いほど、水揚げ時のNG率が低かったのは、枝が長いほど、枝が茶色に変色していく率が比較的に少なくなるためと思います。
しかし、、、ポジティブに考えると、夏の暑い時期でも欲しい数の3倍の挿し穂を準備すればいいだけです。挿し木のベストな流れは、植物に最も適切な時期で剪定をした時の残り枝を使って挿し木をすることです。枝がよく伸びる夏に挿し木できることは、色々とメリットがあるので、引き続き、「どんな季節でも、それなりの成功率で、挿し木できる手法」を検討したいと思います。
次回は、基本に戻り、挿し木の適期でのトライで、パッションフルーツの挿し木の成功率を確認しようと思っています。