スライド植え替えとは?
前記事『スイレンの「スライドしない植え替え」』の対記事です。先に「スライドしない植え替え」という変わった方法から紹介したので、最近の流行の植え替え方法として、「スライド植え替え」の実例を紹介します。
スライド植え替えは前記事にも記載しましたが、下図の手順の植え替え方法です。
そもそも「スライド植え替え」は、一番基本的な「植え替え(植え付け)」に対する改善手法になります。
枕詞のつかない普通の「植え替え(植え付け)」は、根茎を掘り上げ、根を整理し、新しい用土で最初から植え付ける方法です。それに対し、「スライド植え替え」は、古い根茎側を除去し、成長点側の新しい根茎側のみを根を触らずに植え替えする方法です。
サイアム・サンストーンの「スライド植え替え」
以前の記事「スイレンの植え替え 年1回の手間で花を楽しむ!」に書いた通り、私は基本的に年一回(3月)植え替えですが、本記事記載の「スライド植え替え」の実作業紹介の意味を込めて、サイアム・サンストーンを植え替えします。植え替え作業の前に、まず花の紹介です。
「サイアム・サンストーン」は、花の中央に近づくにつれて赤が強く発色する複色花です。有名な花「タンポン」とよく似ていますが、花上がりの良さでは、断然、サイアム・サンストーンが優れます。他の耐寒性スイレンよりも開花シーズンが早く始まるように思います。
次に、本題の植え替えに移ります。前の模式図に示した通りの状態になっていることが分かります。黄色の枠線が根茎位置で、もう少しで右側の壁にぶつかります。
先端部のアップです。花芽が2つ上がっており、サイアム・サンストーンの花上がりの良さが良く分かります。
このまま放っておくと、9月に先端部が壁にぶつかりそうな位置だと思います。
サイアム・サンストーンの「スライド植え替え」手順
最初に示した模式図通りに作業するだけです。
模式図「2.根元側の土を掘り出し」
まず、ノコギリで綺麗に切断線を入れます。
続いて、不要な部分、ノコギリの線より左側をスコップで取り出します。土だけでなく、根茎の古い部分、たくさんの根を含んでいるので、それなりの力が必要で手間がかかります。ちょうど上側に掘り上げた古い根茎を置いています。
模式図「3.空いたスペース側にスライド」
次に、空いたスペースの左側に全体をスライドして寄せます。空いたスペース分だけ、根茎の伸びしろが増えます。
ノコギリで切って作ったスペースがそのまま根茎の伸びしろになります。簡単に動かしているように見えますが、根が張ってるので、全然スライドしません。。。それなりに力づくでスライドさせます。アップで見るとこんな感じです。
右側のスペースと左側に寄せきれない小さいスペースが残ってます。。。
模式図「4.新しい土と肥料を追加」
最後は、空いたスペースに土を入れるだけです。この工程は入れるだけなので楽です。
もう盛夏なので、ここまでスペースを作る必要はなかったように思います。8,9月のためだけのスペースとしては大きくスペースを作りすぎました。
作ったスペースは、減らした根の量であり、今期に伸びれる根茎量であり、そして追加した肥料の量になります。この3者を「スライド植え替え」するタイミングに合わして調整するのは、作業する自分自身で決めます。
『スライド植え替え』のまとめ
前記事『スイレンの「スライドしない植え替え」』に加えて、本記事で、私が普段作業している『スライド植え替え』と『スライドしない植え替え』を紹介しました。「スライド植え替え」は、よく使われている植え替え方法なので、特段の珍しさはないかと思います。一方、「スライドしない植え替え」は、「スライド植え替え」と違う色々な切り口がありますので、一年を通してのスイレンの育て方を決める上で使いたい手法の一つです。色々な植え替え方法を使える方が、色々なパターンの育て方ができますので。
最重要ポイントは、どちらの手法にも共通して、スペースを作ることにあります。どの程度の量のスペースを作るのか?、いつ「スライド/スライドしない植え替え」をするのか?、一年に何回植え替えをするのか?、、、それらの項目をイメージして、作業すればよいかと思います。手間をかければ、花がたくさん見られるのは当たり前なので、最小限の労力で、たくさんの花を見れるか?を引き続き、追求していきます。
最後の最後に、今期から育て始めた新花です。
少し虫が付いていて見苦しい部分もありスミマセン。。。マハソムブットは、サンストーンと同じ、中央に紅がのる複色花であり、そして、サンストーンに比べて、より多数の細かな花弁が綺麗に整列して、とても豪華になっている、大変、見ごたえのある花です。