耐寒性スイレン

スイレンの掘り出し メキシカーナ|2022年冬

来季に向けての耐寒性スイレンの準備

 先の「レモンメレンゲの掘り出し」に続いて、次は、「メキシカーナ」の堀り出しになります。「メキシカーナ」は半耐寒性スイレンと言われる野生種です。育種家が作り出した園芸品種=綺麗な品種名がついたスイレンではなく、メキシコからアメリカあたりに自生する黄花のスイレンになります。学名できっちり分けると、耐寒性スイレンは間違いになりますが、大阪で育てているうえで、全く他の耐寒性スイレンと差が無いので、カテゴリーを耐寒性スイレンにしています。
 これから、泥だらけの掘り出し記事が始まる前に花の紹介です。「メキシカーナ」はクリアな黄色の花弁が最大の魅力の花です。

半耐寒性スイレン-メキシカーナ

半耐寒性スイレン「メキシカーナ」2021年6月

 先のレモンメレンゲが薄黄色・クリーム色に対し、こちらは間違いなく、黄色です。ただ、野生種とあるように、花弁数は特段多くはありません。クリアな黄色で、レモンメレンゲぐらいの花弁数になると見事だと思いますが、そのような品種は知らないです。。。

半耐寒性スイレン-メキシカーナ

半耐寒性スイレン「メキシカーナ」2021年6月

 2枚目の写真を見ると、典型的な耐寒性スイレンで見られる丸い花姿とは少し趣が異なることが分かります。

メキシカーナ 耐寒性スイレンとの違い

 掘り出す前にメキシカーナと、他の耐寒性スイレンとの違いを簡単に説明します。
 花や葉は同じスイレンの仲間で、特段の差は無いです。ただし、根茎の成長方法は全く違います。耐寒性スイレンが根茎の長さ方向に伸びて、大きくなり、芽点を増やします。一方で、メキシカーナは、根茎が大きくなり続けることはなく、また分岐して芽点を増やすこともありません。一定サイズの根茎まで成長すると、イチゴやオリヅルランのように根茎からランナーを周囲に伸ばして、飛び地的に芽点を増やします。
 根茎の成長方法が違うので、そもそもの根茎の植え付け方が全く異なります。耐寒性スイレンは、根茎の成長方法に合わせて、耐寒性スイレンが鉢の端に寝かせて植え付けるのに対し、メキシカーナは鉢の中心に、立てて植え付けます。鉢の中心に植え付ける方法は、熱帯性スイレンと同じですね。
 端的に特徴の違いをまとめると、このようになります。

メキシカーナ 耐寒性スイレン
花色 黄色 赤、白、桃、黄色
緑、緑に斑点 緑、緑に斑点
根茎の増え方 ランナーで芽点が増える 伸長・分岐して芽点が増える
植え付け方 鉢の中心、立てる 鉢の端、寝かせる
耐寒性 屋外で越冬 屋外で越冬

 花や葉を観賞する点には差異がありません。半耐寒性と言われますが、越冬においても差異が無く、大阪では屋外で冬越し可能です。
 一言でいうと、メキシカーナは耐寒性スイレンと同じように育てられるが、根茎の成長方法だけは全く異なるので、植え付け方、増え方だけは全く違うことになります。今回の記事の目的は、耐寒性スイレンとは違う植え付け方、成長方法のメキシカーナの1年の生育状態の確認です。

メキシカーナ 植え付け1年後の姿(2月)

 1年育てたメキシカーナの鉢の状態です。鉢は30cmΦの浅鉢を使っています。

耐寒性スイレン-メキシカーナ-根茎

半耐寒性スイレン「メキシカーナ」の植え付け1年後の株姿(2月)

 赤丸部分が約1年前の植え付け位置です(鉢の中心から少しずれていますが、本当はど真ん中に植えるべきです…)。青丸が増えた芽点ですが、明らかに飛び地的に四方八方に芽点が増えていることが分かります。引き続いて、芽点を傷つけないように、水で土を洗い流して、全体像を見えやすくします。

耐寒性スイレン-メキシカーナ-根茎-ランナー

半耐寒性スイレン「メキシカーナ」の植え付け1年後の株姿(2月)

 白い根に加えて、黄色の矢印で示すランナーが見えます。ランナーは根より太くて、しっかりしています。赤丸の最初の芽点から、下の青丸の飛び地の芽点にランナーを介して、芽点が増えています。さらに土を水で落として、鉢から出して見てみます。

耐寒性スイレン-メキシカーナ-根茎-ランナー

半耐寒性スイレン「メキシカーナ」の植え付け1年後の株姿(2月)

 青の芽点が増え、黄色の矢印のランナーもたくさん見えてきました。この時点で、元の赤の芽点に加えて、4つの青の芽点が増えています。それぞれの芽点からの浮き葉が重ならないように、ランナーを使って芽点の間に距離を空けているかのようです。

メキシカーナ 根茎の増え方

 レモンメレンゲがと同じように、1年育てて大きくなった根茎を芽点単位で分けました。土を落としてから、太いランナーを切り分けて、増えた根茎を収穫(?)します。

耐寒性スイレン-メキシカーナ-根茎

半耐寒性スイレン「メキシカーナ」の植え付け1年後の根茎数(2月)

 植え付け時の根茎が赤囲みのもので、すぐに開花できそうな立派な根茎が4本(青囲み)と、すぐの開花は難しそうな小さな根茎1本(黄囲み)に増えました。レモンメレンゲが、1年で8倍に増えたのに比べて、5倍と少し少ないですが、普通に育てるには十分なくらいに増えます。

メキシカーナ 適切な植え付け容器

 今回、レモンメレンゲに続いて、メキシカーナの根茎の生育状況を調べました。一方向に伸びる耐寒性スイレンの根茎ではなく、鉢の中心に植えた根茎から周囲にランナーを伸ばして増えるメキシカーナの根茎の成長方法が分かりました。
 一年の根茎の成長結果から、メキシカーナを育てるのに適した苗サイズと植え付け容器を提案します。が、メキシカーナについては、基本的な方法以上の特段の知見は無いように思います。丸鉢の中心に根茎を立てて植える!だけです。
 今回の結果から言えることは、根茎の増える割合が、鉢サイズを決める一つの基準であることです。30cmΦの丸鉢で育てると、1年で5倍に増えて、増えすぎます。花サイズは最初の写真に示す通り、15cmほどの立派な花が咲きます。他のスイレンにも言えますが、場所に余裕があれば、大きな鉢で大きな花を楽しむのがいいかと思います。ただ、個人的には、メキシカーナの開花は比較的、コンスタントに咲くので、もう少し小さな15-20cmΦで小さく楽しむ方がいいように思います。メキシカーナは派手すぎない楚々とした花が魅力ですが、他の美しい園芸品種が多々ある中で、大鉢で庭に大きく育てるには、少し役不足のように思います。。。

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