スイレンの楽しみ方
スイレンの楽しみ方は人それぞれだと思いますが、花の美しさを楽しむのが一般的だと思います。では、花の美しさは何?と言えば、色々な答えがあると思います。綺麗な花弁の色を楽しむこともできます。多数の花弁が整形に整った花の形も美しいと感じます。他の陸上の植物には無い水面に浮かぶ花姿も楽しめます。私が、初めてスイレンの花の美しさを感じたのは、滋賀県草津市の水生植物園に蓮を観に行った時に、観賞の主目的の蓮以上に、発色の良いレモンイエローの多数の花弁が整列して綺麗に咲くスイレンの花がとても印象的であったことを覚えています。
今回は、少し視点をずらして花のサイズを楽しむことを考えてみます。先に今回紹介したいメインのスイレンを紹介します。品種名はピンクレモネードになります。
淡い桃色を示す外側の花弁から、中央の花弁が黄色になり、桃色から黄色の複色花になります。複色花の色としては、特段、珍しい色ではありません。他にも同じような花弁の色を示す品種は多々あるかと思います。花弁数も耐寒性スイレンとしては、普通くらいで、多くもなく、少なくもないという数です。幻想的な複色は綺麗でありますが、前記事「熱帯スイレン「スワンナ」の様々な表情」で紹介した「スワンナ」の分かりやすい無二の美しさに比べると、若干物足りなさがあります。
スケール付き写真でスイレンを見る
今回は、サイズに注目しますので、スケール付きで花を見比べたいと思います。花のサイズを決めるのは、根茎の成長度合い、開花の時期、植え付け容器のサイズ、沈めている水面面積等々、色々なパラメータが影響します。どんな品種でも、根茎が充実していない、植え付けて間もない花だと、品種本来の花は咲きにくいです。秋も深まってきたシーズン最後の花も、品種本来の花が咲くとは思えません。
今回品種以外の要素をできるだけ同条件にするために、8/20の我が家の庭に咲いている花で統一して見比べます。紹介する品種の植え付け時期は、耐寒性スイレンは全て2月末から3月上旬、熱帯スイレンは5月上旬で同じです。植え付け容器は、耐寒性スイレンは45cm以上の十分に大きいプランター、熱帯スイレンは8~9号の平鉢を使い、充分に根詰まり無くのびのび生育できるサイズを使っています。
ピンクレモネード 花サイズ15cm
まず、8/20に開花していた「ピンクレモネード」です。今度はスケール付きです。
平面方向の最大サイズはおよそ15cmです。この15cmのサイズ感を知るために他のスイレンを比べます。
トロピックスター 花サイズ9cm
次に、亜属間交配スイレンの「トロピックスター」です。亜属間交配スイレンの中でも大きな花の部類と言われています。
整った形に咲いてくれています。それでも花サイズは10cmを超えません。
キングオブサイアム 花サイズ9cm
続いて、熱帯スイレンに移ります。まず「キングオブサイアム」です。
開花が進んで平たくなってきていますので、平面上は花の最大サイズになっていると思います。でも10cmを超えません。
ムーンビーム 花サイズ7cm
もう一つ熱帯スイレンで、「ムーンビーム」です。
サイズがさらに小さくなって7cmです。ピンクレモネードの半分にも満たないサイズです。
最後に4枚の写真を同じスケールにして並べると、こんな感じです。
分かりにくい比較ですみません(切り花にして直接比較すればよかったです…)。ただ、上の4枚の写真比較から、「ピンクレモネード」だけ花のサイズが異様に大きいことが分かるかと思います。
花のサイズのまとめ
今回は、耐寒性スイレン「ピンクレモネード」に注目して、花サイズを考えました。写真でスイレンの花を見る場合、当然、花のサイズに合わせた構図で写真を撮ります。小さい花でも、大きい花でも写真のフレーム中央に同じように配置して写真を撮るので、花サイズの差が分かりません。当然、わざわざスケールをつけて写真を撮ることもないですし。上の4枚の比較写真から想像して、庭のスイレンに群を抜いて大きいスイレンが咲いている姿を想像してみてください。美しいとは少し違いますが、「あの巨大なスイレンは何??」という驚きがあるかと思います。
今回、比較紹介しなかったスイレンも何種類か育てていますが、それらと比較してもピンクレモネードの大きさは特異に思います。開花シーズン初期や開花シーズン終盤でもピンクレモネードの開花サイズは大きめを維持してくれています。
多数の花弁で咲くレモンメレンゲやマニカムなんかは、最盛期に立派な大きな花を咲かせて、感嘆する美しさを感じられます。ただ、開花シーズン初期・終盤では、花弁数が少なかったり、皺が寄ったりと、ベストでない開花状態になりがちです。そういう点でも、特段の多弁花でないピンクレモネードはいつも大きな花で安定して楽しませてくれます。
もちろん、限られた栽培環境の中で、小さい花を咲かせて楽しむ方法もあると思います。ただ、個人的な趣向としては、スイレンという花は、大きな花を楽しみたい植物のように感じます。
最後に、ピンクレモネードとは逆に「なんか小さい花だなー」と思ってします品種の紹介です。
何度か紹介している「ジャッカフォン」です。濃い赤に白筋が入り綺麗なスイレンです。花弁数も多く写真では、とても豪華に見えると思います。でも花は小さいです。6月から7月の最盛期の花でも大きくなりません。。。「ジャッカフォン」が「ピンクレモネード」並みのサイズで咲くと、豪華絢爛という言葉が似あう花だと思います。しかし、実際は、「花はとても綺麗なんだけど、なんか小さいなー」という印象になります。。。