耐寒性スイレン

スイレンの植え替え 年1回の手間で花を楽しむ!

スイレンの植え替えの重要性

 スイレンに限らず、ベランダガーデニング、すなわち地植えでない植物の育て方には、植え替えは必須で、超重要項目になります。地植えだと、数年かけて植物のあるべき姿(株サイズ、枝ぶり、根張り)に育ちます。しかし、ベランダガーデニングで鉢植えで育てる場合は、限られた鉢の中で、根を管理する必要があります。どのようなサイズの鉢を選ぶか?、どのような土を使うか?、そしてどのようなタイミングで植え替えるか?は、園芸・ガーデニング好きには検討する楽しみです。
 水生植物のスイレンについても、普通の植物と同じく、植え替えは大変重要です。スイレンを育てる最大の目的は、綺麗な花を見ることです。植え替えなしでは、多数の綺麗な花を十分に楽しめません。水生植物は土中の栄養分が水中に溶け出すので、追肥も重要になります。植え替えと追肥を両方するのが当然ベストですが、一つだけ対応するなら、間違いなく、年1回の植え替えです。ただし、『年1回』の植え替えで綺麗な花を見るには、最低でも4点のポイントを理解した対応がマストです。

  1. 植え替えの時期
  2. 植え替える鉢の形とサイズ
  3. 肥料種類と施肥量
  4. 品種特性の対応

 4点とも普通の植物と同じポイントですが、スイレンのような水生植物への影響は、普通の植物以上に大きいので、とても重要です。スイレンを育てる水生植物が故のメリットは、植物を育てる最大の手間である水やりをせずに綺麗な花を楽しめることです。このためには、年1回の植え替えだけは、最大の手間をかけてでも対応しないといけません。

スイレンの植え替えの時期

 厳冬期と真夏以外OKのように書かれたりしますが、花を咲かせる育て方としては、間違いです。枯らさずに生育させる意味では、間違いではないですが、それでは、スイレンを育てる意味がありません。。。推奨時期を端的に書きます。

年1回の植え替えの最適期】
3月上旬(遅くとも3月中には完了させる)

【最適な理由1】
適正な管理で、5月下旬~6月上旬から開花を開始できる

【最適な理由2】
施肥回数を1回で済ませられる
植え替え時の肥料分でギリギリ1年間の肥料分を確保できる

 おおよその生育イメージは、
「3月の植え替えと同時に、暖かくなって根の生育が始まる」
⇒「6月の開花時期に根の生育が概ね完成する」
⇒「9月の最後の開花時期まで生育・開花を続ける」
⇒「10月には肥料が無くなり、生育が終了し、そのまま3月の植え替えを待つ」
になります。

 逆に最適期でない理由も書きます。最適期でない理由を知ると、必然的に最適期の3月を選ぶ意味が理解しやすいです。

【年1回の植え替えの不適期】
10~11月

【不適な理由1】
植え付け時の肥料分が溶出して、夏に追肥が必須になる
【不適な理由2】
成長が旺盛な品種は、夏に2回目の植え替えが必須になる

 ただし、年2回の植え替え、追肥ありで育てるのであれば、10~11月は最適期です。1つの品種を最大の手間で育てるのであれば、お勧め条件を言えます。しかし、倍の手間をかけるのであれば、その手間をかけて、複数の品種を育てた方が良いと思います。
 年2回の植え替え、追肥ありで育てる場合の生育イメージは、
「晩秋の植え替えから早春までに発根の準備が完了する」
⇒「早春早々から発根が始まる」
⇒「5月下旬からの開花に十分に間に合う」
⇒「夏の生育最盛期に肥料切れ、植え替え対応をする」
⇒「9月まで開花が継続し、肥料が残っていても10月に次年度のための植え替えをする」
になります。10月の植え替え時期に肥料が残っていても植え替えすることが、作業量や与える肥料の観点で無駄に感じます。

スイレンを植え替える鉢の形とサイズ

 耐寒性スイレンの根茎は、品種によって驚くほど生育が異なります。成長の早さと、根茎の伸び方で、鉢の形とサイズを選びます。品種に最適な鉢より小さい鉢に間違うと、年に何度も植え替えしないといけないくらい、根茎が鉢の縁まで成長します。逆に、品種に最適な鉢より大きい鉢に間違うと、せっかく大きな鉢で育てても、土を使用することなく、無駄になります。分類を端的に書きます。

【長く伸びる/脇芽を出しにくいタイプ】
☆長さ50cm以上の細長いプランターで植え付ける
★年2回の植え替えができれば、スライド植え替えする

【長く伸びる/脇芽も出すタイプ】
☆長さ50cm以上の細長いプランターで植え付ける
◎できれば真夏に脇芽を処理をする(指で潰す、はさみで切除する)
★年2回の植え替えができれば、スライド植え替えする

 オドラタ型、ツベロサ型と言われたり、ロングタイプと言われるものです。一年に数10cmと驚くほど成長する品種もあります。元気に根茎が伸びるのを楽しめるとも言えます。脇芽を出すタイプは株を増やしやすいです(増えすぎます)。

長く伸びずに太る/脇芽を出しにくいタイプ】
☆5号(直径15cm)~8号(直径24cm)の浅鉢に植え付ける
☆長さ20~30cm程度の細長いプランターに植え付ける

【長く伸びずに太る/脇芽を出しやすいタイプ】
☆5号(直径15cm)~8号(直径24cm)の浅鉢に植え付ける
◎できれば真夏に脇芽を処理をする(指で潰す、はさみで切除する)

 マルリアック型と言われたり、ミディアムタイプと言われるものです。栽培が容易なのが最大の特徴です。脇芽を出さないものは増やしにくいので、枯らさないように要注意です。脇芽を出しすぎるものは、メインの根茎の開花数が減るリスクがあるので、脇芽処理がベターです。

【直立型/ランナーを出すタイプ】
☆5号(直径15cm)~8号(直径24cm)の普通鉢からやや浅鉢に植え付ける

 メキシカーナ系が該当します。普通の耐寒性スイレンは、根茎を横にして植え付けますが、メキシカーナ系は根茎を縦にして植え付けます。縦にして植え付けるので、必然的に鉢の深さが必要になります。生育は、ランナーを四方に伸ばして増えていきます。
 メキシカーナ系は、耐寒性スイレンでなく半耐寒性スイレンと言われます。ただし、大阪で育てていて耐寒性で問題になったことはなく、耐寒性スイレンと全く同じように扱えます。

 3種類に分けて書きましたが、大きくは細長鉢のプランターか丸い鉢の2種のどちらかです。品種の育ち方と違う鉢にすると、順調に生育しないので、植え付け前に品種特性は要確認です。品種不明のスイレンなんかは育てない方が無難です。
 参考までにロングタイプの耐寒性スイレン『ピンクレモネード』の掘り出した根茎です。昨春から一年育てたものです。植え付け時は10cm弱だったのが、1年で50cm近く(5倍!)に伸びています。

スイレン-ピンクレモネード-根茎

耐寒性スイレン『ピンクレモネード』の1年育てた根茎

 右端の黒部分は植え付けた時の根茎で、クリーム色に見える根茎が元気に成長した部分です。こんなに長く伸びる根茎を丸鉢に入れていたら、間違いなく鉢の縁にぶつかって、生育が悪化します(もちろん、細長いプランターで育てています)。

 スライド植え替えについては、別途記事に書くつもりですので、紹介だけ。スライド植え替えという手間の少ない植え替え方法があります。年1回の植え替え!と言っていますが、夏にスライド植え替えを1回するくらいは、手間数の許容範囲かなと思います。

植え替え時の肥料種類と施肥量

 次に施肥量です。通常の植物は土中の肥料が水やり時に少しずつ溶け出します。しかし、スイレンのような水生植物では、土中の肥料が常時、溶け出していきます。冬場は、気温が低いので溶け出す量が少ないですが、水温が上がると当然、溶け出す量が多くなり、すぐに肥料切れしてしまいます。おすすめ肥料を書きます。

【おすすめ肥料】
IB肥料(N-P-K:10-10-10)
・緩効性化成肥料(商品名は『バーディー』等)
・粒状で約5mm
・20kgで6000円くらい(安価300円/kgだが入手が面倒)

【入手しやすい肥料】
マグアンプ『大』粒(N-P-K:6-40-6)
・緩効性化成肥料
・粒状で約2-3mm
・1kgで1000円くらい(明らかに高価だが、入手は容易)

 普通にガーデニングをしているレベルでは、どこでも購入できるマグアンプになるかと思います。しかし、スイレンのような水生植物には、多量の肥料を使うので、マグアンプは大変高価になってしまいます。通販を使ったり、お店を探さないといけませんが、20kg単位でIB肥料を一袋購入した方が圧倒的に安価になります。もちろん、他の普通の植物にも使えます。重たい袋ですが、一袋購入して、数年間、使うのがベストです。マグアンプの7割引きの値段がIB化成ですから。。。

 施肥量は、定量的な表現でないのですが、植え替え時に土中に粒の肥料が散見できるくらいに多量に混ぜ込みます。基本としては、肥料は根茎に触れないようにするべきです。しかし、使用する肥料は緩効性化成肥料なので、それほど気にしなくてもかまいません。経験的には、肥料焼けして枯れてしまった!は一度もないです。むしろ肥料が切れて、葉が黄色くなって元気がなくなった・・・という方が多いです。
 年1回の植え替え時に一年分の肥料を与えるので、多めに与えます。分かりにくい表現ですみませんが、土中にIB化成の粒、マグアンプ大粒の粒が何個も確認できる程度です。探さないと、粒が見えないようでは肥料の量が少ないです。
 たくさんの肥料を与えると書いていますが、メダカなんかを育てている時は植え替え時は要注意です。植え替え直後に多量の肥料が水中に溶け出して、水中のバランスが崩れてしまいます。一気にグリーンウォーター(濃い緑色の水になる、表面に緑の藻が覆う)化して、泳いでいたメダカが気づいたら全滅してしまうことがあります。私は、植え替えした後の株は取り出して、メダカを育てていない鉢で1か月ほど育ててから、メダカのいる鉢に戻すようにしています。事前の1か月間で、植え替え直後に一気に肥料が水中に溶け出す状態を終わらせるためです。
 参考までに、2つのスイレン鉢の写真です。右が植え替え直後のスイレン鉢で、左が植え替え前の昨年から放置中のスイレン鉢です。

スイレン鉢-グリーンウォーター

スイレン鉢のグリーンウォーター化(右の鉢)

 右の植え替え直後のスイレン鉢は、2,3日に1回藻を流していても、すぐに藻が浮いてきます。左は植え替え前の昨年から放置のスイレン鉢ですが、何をしていなくても藻の発生は極僅かです。

品種特性に対応

 品種特性の一番の影響は、植え替える鉢のタイプとサイズです。先に書いたように、長く伸びるタイプ(ロングタイプ)を丸鉢に育てていたら、すぐに根茎は鉢で詰まります。
 また品種によって、開花に必要とされる施肥量(P量)が異なります。濁りのない白色で有名なゴンネール(スノーボール)なんかは肥料が多くないと開花しにくいです。亜属間交配スイレンのサイアム・パープル1なんかも、多めの肥料を与えないと、なかなか開花しません。
 最後に、そもそも、開花しにくい品種は、頑張っても開花しにくいです。開花しやすい品種は、あまり頑張らなくても開花してくれます。
 品種特性の結論は端的に言うと下記です。

【品種特性】
・ロング型とミディアム型を間違えずに植え替えする
・開花しやすい品種を選ぶ

 基本的には、新しく作出された品種は、開花しやすいです。当然ながら購入金額は高くなるかもしれませんが、その分、手間少なく開花させられるので、迷わず、栽培の品質として上位の品種を選ぶべきです。具体的には、

  • サイアムパープル1⇒フェイマクドナルド
  • グルワール デュ タンプル シュル ロット⇒マニカム
  • ゴンネール⇒サイアムジャスミン
  • タンポン⇒サイアムサンストーン

になるかなと思います。基本的には、古い品種より新しい品種です。最小限の手間と、少し追加の購入金額で、最大限の楽しみを得るべきに思います。植物の栽培は1年周期で長いです。開花数が少ないのを頑張って数年育てるくらいなら、適正な品種を選んで、さっさと開花を楽しみましょう。

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