ストレリチアとは
ストレリチアというと分かりにくいかもしれません。オーガスタの名でメジャーな観葉植物がありますが、正式にはストレリチア属のニコライになります。
育て方次第で2m以上に簡単に大きくなるオーガスタの株姿が、1~2m程度の背丈に小さくなったものがレギネの株姿です。さらにレギネの葉の部分がなくなって、茎だけが槍のように叢生する株姿がジャンセアです。
葉・株姿を楽しむ観葉植物だけではなく、極楽鳥花と言われる美しい花も楽しむ花物としても、ストレリチアを考えます。
まずニコライ(オーガスタ)の開花は、自宅の庭では極めて難しいです(植物園級の数mオーバーの大株でないと開花しにくい)。
一方、レギネーは、適切な品種を選べば、毎年たくさんの極楽鳥花が見られます。ジャンセアも、レギネーよりは開花数は減りますが、年に1輪程度は咲いてくれます(オーガスタは10年ほど育てていますが、たった1度も開花していません)。
レギネーの花、極楽鳥花の最大の特徴は、もちろん花の外見です。萼片、花冠、仏炎苞の美しい色合いの組み合わせ・コントラストと、他に類を見ない特徴的な鳥のくちばしのような花姿です。
もう一つの大きな特徴は、花期が圧倒的に長いことです。
ストレリチアの花は冬の花とされます。ただし冬の一時にまとめて咲き誇る咲き方ではありません。1つの花芽(仏炎苞・・・鳥のくちばしに相当する部分)から数輪の花(萼片、花冠)を順番に咲かせるだけで長く花を観賞できます。複数の花芽の伸長に時間差がありますので、さらに長く花を観賞できます。最初の一本の花芽の1輪目の花から、最後の一本の花芽の最終輪の花までは、3~6か月程度にもなります。1年12か月中の1/4から1/2の長い間、花を見れます。
チューリップなんかが1輪咲いているだけでは観賞価値が低いですが、ストレリチア・レギネーは1輪咲くだけで存在感のある花なので、最初の1輪から最後の1輪まで飽きずに楽しめます。美しく個性的な花を数か月の長期間楽しめる植物は他に見られません。
観葉植物と花物を兼ねるベストなストレリチア属は、間違いなくレギネーです。
ただ、花を楽しむには注意が必要です。ストレリチア・レギネーという植物種類の名前だけで買うと、花を見ることなく、観葉植物としの楽しみだけに終わるかもしれません。
すべての植物に共通することとして、植物種類だけでなく、品種名までこだわるところから、深く園芸、ガーデニングを楽しむことが始まります。
ストレリチア・レギネーの種類
ストレリチア・レギネーの品種は、私の知る限りでは、4つしかありません。すべて植物研究家の鈴木勇太郎氏により選別、作出されました。
原種にあたる「黄花原種A」、「黄花原種B」、作出された品種の「ゴールドクレスト」、「オレンジプリンス」です。それ以外は、品種名の無い「ただの」ストレリチア・レギネーです。
ストレリチアの品種をなすポイントは、
- 鳥のとさかにあたる『萼片の花色』
基本色は、オレンジ色です。熱帯植物的な鮮やかなオレンジ色で、特徴的な花姿に相まって基本色でも美しいです。
このオレンジ色の品種が、黄花品種のゴールドクレストから作出された「オレンジプリンス」になります(ストレリチアの基本色がオレンジ色で、オレンジ色から黄花の品種が作出されて、作出された黄花の品種から、オレンジ色の品種が作出されたそうです。不思議に思うかもしれませんが、オレンジプリンスの特徴が、萼片の花色だけでなく、仏炎苞の色、花立の改良の観点があるからです)。
オレンジ色の萼片の色が黄色になった野生選抜種が黄花原種A、黄花原種Bです。そして黄花原種より作出されたものがゴールドクレストになります。
ストレリチアの品種をなすポイントは、萼片の花色だけの分類なら、オレンジ色と黄色の2種のみです。4つの品種と名無し品との違いは、花立ちと仏炎苞・花首の色です。
- 花立ち
4つの品種は、1条(1つの成長点を含む株単位)あたり2本は花芽が上がると言われます。開花する株サイズは2条程度になるので、年に4本の花芽が上がることになります。
花立ちは品種を特徴づけるには明示されにくい項目に感じますが、他の植物にも共通する大事な項目です。
どんなに美しい花でも、開花数が少なければ、育てる手間に対する対価(花を楽しむ機会)が釣り合いません。ストレリチアの場合は、名無し品の花立ちは極めて悪い可能性が高く、数年育てても全く咲かないこともあります。 - 仏炎苞と花首の色
4つの品種は、仏炎苞・花首が赤~赤紫(レッド)と鮮やかな発色をし、萼片の色(オレンジ、イエロー)、葉の緑(グリーン)、花冠の青(ブルー)と綺麗なコントラストを作ります。黄花のストレリチアの場合は、まさに色の4原色となるRGBYの組み合わせです。
4品種を見た後に名無し品の花を見ると、仏炎苞・花首はほぼ緑で、赤の要素が抜けてしまい、極楽鳥花の色コントラストがイマイチです。
ネットショッピングで開花株として売られている名無しのストレリチア・レギネーの花を見ると、ほぼ緑の仏炎苞・花首です。
名無し品は開花数自体が少ないので、花が咲いているだけマシと言えますが、ストレリチアの楽しさを最大限に楽しんでいるとは言えません。
ゴールドクレスト@兵庫県での初開花
兵庫県加古川市の親類の家で育てているストレリチア・レギネー「ゴールドクレスト」が開花し始めました。まだ10月中旬ですので、早い開花になります。青い花冠が1本なので、この仏炎苞の1輪目になります。
全体を見ると、6本もの赤い花芽を伸ばしています。葉・茎に混じって、たくさんの赤い花芽が伸びている姿は、圧巻の姿です。
自宅の大阪府吹田市では花芽を確認できますが、まだ開花は程通い感じです。暖かい大阪に比べて、多少、季節の進みが早い兵庫県で先に開花するのは、極楽鳥花が冬の花であることを表しています。
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育てたいストレリチア
ストレリチアを、観葉植物と花物の両方を楽しむには品種を確認して買うことがマストです。黄花原種A、黄花原種Bは個体差は無いかと思いますが、ゴールドクレストには個体差があります。開花した花を見て株を選ぶことが大事です。
選別する最大ポイントは仏炎苞の発色になります。赤色、赤紫色に綺麗に発色し、発色する部位が仏炎苞の一部ではなく、全部である株が、最も花が映えると思います。萼片の色は薄い、濃い程度で大きな差はないと思います。
ゴールドクレストは色合いの良し悪しに比例して、5000~10000円程度で入手できます。一方で、黄花原種は貴重で、2,3万円程度なので、高額です。
黄花原種はゴールドクレストの作出元であり、新しいストレリチア・レギネーの品種を作出する元株としては、非常に有望な株だと思います。
最後に、大阪で育てているゴールドクレスト(左)と黄花原種A(右)です。
どちらも花芽が多数上がりつつあります。花の美しさでは、左のゴールドクレストは、黄花原種A以上に綺麗な(コントラストの強い)花が咲く優良株です。株姿では、左のゴールドクレストに比べて、黄花原種Aが直立性で締まった株姿であることが分かります。原種は、花だけでなく、花立ち、株姿を合わせ、総合的に大変優れた株と言われています。