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フィロデンドロン「マハラジャ」の挿し木
2022年は、何でも挿し木して植物を増殖させていますが、今回は、4月に挿したフィロデンドロン「マハラジャ」の3か月後の生育記録です。挿し木した時の記事は、2022年4月の「フィロデンドロン マハラジャ 挿し木」になります。
数あるフィロデンドロンの中でも、他にはないクシャクシャの葉が面白い品種です。茎は、モンステラ「デリシオーサ」並みの太いがっちりしたタイプのものです。

フィロデンドロン「マハラジャ」の変形葉
先に状況を話すと、順調に生育しているようなのですが、天挿しと管挿しで生育状況に明らかに差が出ていたので、その報告です。
挿し木の元株(挿し穂を採られた元株)
挿し木の前に、挿し穂を採られた元株です。挿し木と違って、がっつり根を張っているので、生育は早いはずです。これが挿し木前の4月の株です。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木前の大株@4月
この2つに別れて長く伸び過ぎた主茎を切り刻んで挿し木しました。多数の挿し穂を採った後の可哀そうな株の状態がこれです。すでに芽がいくつか見られています。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木後の大株@4月
ここから3.5か月後の8月上旬です。切断部近傍だけでなく、色々なところから芽吹いてきて、春から夏のたった数か月で、賑やかや株になっています。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木後の大株@3.5か月後の8月
切断部の近傍の芽が優先的に動くのは、基本的な植物の芽吹き方です。数えられないくらいの芽数に増えています。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木後の大株@3.5か月後の8月
それでも葉サイズは、まだ小さく、マハラジャの最大の特徴の、葉がぐにゃぐにゃに歪む特徴は表れていません。ただし、中央の葉脈が白く見えることや葉の分厚さは、まさにフィロデンドロン「マハラジャ」の特徴です。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木後の大株の葉@3.5か月後の8月
挿し木(天挿し)の生育状況
本記事で確認したいことは、天挿しと管挿しのどちらが生育が良いのかという点です。天挿し2点と管挿し4点を作っていたのですが、まず天挿しの方です。挿し木したばかりは、こんな感じで、天挿しの成長点と元気な葉2枚をつけて挿しました。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木直後の天挿し株@4月
この後3か月経過後の天挿し挿し穂の状態です。緑色を保っていますので、枯れてはいないですが、せいぜい現状維持という感じです。

フィロデンドロン「マハラジャ」天挿し株3か月後@7月
天挿しの成長点は生きていますが、3か月の間に新葉の展開は無かったです。挿し木時に付けていた葉2枚は、1株は2枚とも枯れ落ち、もう1株は1枚枯れ落ちて1枚残っています。
挿し木(管挿し)の生育状況
一方で、管挿し4株の方です。枝の木質化が進んでいるような枝を使って挿し木株を作りました。最初はこんな感じです。枝のみを挿して作った至ってシンプルな姿です。気根があれば、生育に有利なのですが、残念ながら天挿し株、管挿し株ともに気根なしです。なので、どちらも条件は同じです。

フィロデンドロン「マハラジャ」挿し木直後の管挿し株@4月
赤丸で囲んだところに芽点は見えます。節数は多い挿し穂なので、元気であれば、多数の芽が出る可能性があると言えます。
次に、3か月後の管挿し4株の姿です。

フィロデンドロン「マハラジャ」管挿し株3か月後@7月
4株の生育に多少の差がありますが、どの株も芽が動いていることが一目瞭然です。多数の芽が動いているので、元気に育てるには、成長する芽を絞った方がいいかなと思う位です。一番育っている管挿し株は、既に葉が2枚展開しています。

フィロデンドロン「マハラジャ」管挿し株3か月後@7月
「天挿し」より「管挿し」の方が生育は良い
4月に挿した挿し木株の3か月の生育を確認しました。
2株の天挿し株、4株の管挿し株を育てたところ、天挿し株では目立った生育は見られませんでした。しかし、管挿し株では、芽が無いところから、芽吹いて成長し始める動きが4株ともに見られました。育て方は、天挿し株、管挿し株も共通で、明るい日陰での屋外管理で同じ条件です。用土には水苔を用い、水苔が乾き始めたら、水をやって、完全に乾くことなく育てました。
一般的には、天挿しの方が生育が早いと言われますが、単純比較したところ、明らかに管挿しの方が生育が早い結果となりました。
アジサイや他の植物でも色々と挿し木してきましたが、基本的に、天挿しより管挿しの方が挿し木の成功率が高いと感じます。成功率の差の理由は、おそらく枝の充実度の差と思われます。天挿しは必然的に若い枝となります。管挿しは必然的に多少生育が進んだ、もしくは古くなった枝となります。若い枝の方が発根しやすいように思われるのですが、実際は、管挿しの多少生育が進んだ枝や、古くなった枝の方が発根しやすいことが多いようです。では、何でも管挿しにしよう!となりますが、天挿しのメリットは、斑入りのような特別な特性を継続させやすい点です。斑入りモンステラや斑入りのフィロデンドロンを挿し木する時は、まず第一に斑の継続が大事です。斑入りモンステラと思っていたら、緑のモンステラになってしまった、、、にならないためには、天挿しで、葉の展開をきっちり確認した成長点を使えるのは大きなメリットです。今回は、斑入りでないフィロデンドロンでの挿し木のため、天挿しをする特別な理由は無いので、管挿しで全く問題ありません。
これからも天挿しは苦手なままでは面白くないので、天挿しに適した育て方を、次回の挿し木トライ時に考えてみたいと思います。ただ、今回の挿し木の観察でも、天挿しが失敗した=枯れたわけではありません。明らかに管挿しより生育が遅いということです。その点は勘違いしないように。。。