緑色のアジサイの花
花の印象を最初に決める要素は、個人的には、『色』と思っています。ヤマアジサイ「紅」の真紅の花色は、初めて見た時にこんなに深い赤に発色することに感動しました。同じ『色』による印象でも少し意味合いが違うのは、ヤマアジサイ「清澄沢」の赤覆輪、アジサイ「こんぺいとう」「万華鏡」の白覆輪は、色の構成が作り出す印象で、『色』そのものの印象ではないと思います。アジサイは品種改良がとても盛んで、毎年、新しい新品種が次々に出てきますが、『色』そのものの目新しさではなく、『色』の構成が作り出す目新しさが多いように感じます。
次に花を印象づける要素は、花の『形』だと思います。八重咲・千重咲きや、細弁・丸弁のような形状も大きく花を印象付けます。大好きなアジサイの「八丈千鳥」は、特段の特徴もない白色ですが、他に類を見ない細弁・八重咲が作り出す線香花火的な形状で、一目で魅了されました。アジサイ以外の植物では、スイレンの整った八重咲多弁花はとても綺麗ですし(スイレンは水面に咲くシチュエーションも魅力に付加されると思いますが)、典型的なアサガオの一重丸弁もアサガオらしい可愛さを感じられます。
アジサイの花の色に注目すると、基本的には、①白、②暖色系の赤・ピンク、③寒色系の青・水色・紫の3つに大きくは分かれると思います。アジサイで一般的には見られない色は、④黄色・オレンジ色と⑤緑色になると思います。
④黄色は、ヤマアジサイでは、「静香」「木曽変化」「萌黄」等が黄色いと言われたりしますが、せいぜいクリーム色に見えなくもない?程度と思っています。黄色を楽しむのなら、やっぱりスイレンのクリアなレモンイエローを見ている方がよほど綺麗です。
最後に残されるのが⑤緑色です。妻は、「葉も緑色なのに花も緑色って綺麗なの?」と言います。妻の言っていることも分かりますが、植物を楽しむ人間としては、珍しい花色にはとても惹かれます。青いバラを珍重するのと同じ感覚のように思います。。。
ただし、緑色の花のアジサイで注意すべき点は、ファイトプラズマと言われる細菌に侵された株(品種)があることです。ごく稀にオークションで見たりしますが、他のアジサイに伝染して、最終的には枯死させる、、、と言われたりします。一方で、数年育てているけど問題なく育っています、、、と書かれていたりもします。どちらが真実かは分かりませんが、一つのアジサイの株で、家中の植物に対するリスクを負いたくないので、入手しない方が無難です。
もう一つの注意点は、開花のタイミングで、どんなアジサイも緑色になることと混同しないことです。当たり前のことですが、花を咲く前の花弁は、真緑でなくても緑色を帯びます。ガクアジサイ「コサージュ」の開花最盛期と開花寸前を同時に撮った写真です。
左側は開花寸前なので、薄黄緑から白です。当前と言えば当前です。自ら育てて確認したわけではないので決めつけたらダメなのですが、いくつかの品種で「花色が緑から青色に変わります」なんて宣伝文句を聞きますが、この開花寸前の色の状態が継続しやすいだけでは??と思ってしまいます。
逆に、開花後に放置して秋色アジサイと言われるアンティーク色に変化させると、大抵のアジサイは、黄緑色から薄緑色、緑褐色になります。これも緑色のアジサイと言ってしまうと、管理次第ですべて緑色のアジサイになります。アジサイは新鮮な開花を楽しんでこそ!と思っているので、秋色アジサイは、開花後に剪定して翌年の開花の準備をするというアジサイの基本サイクルを守らず、翌年の開花数を減らす手法だと思うので、全くお勧めしません。
アジサイの花が最も美しい時期は、ガクアジサイなら、外周の装飾花が発色し、少し遅れて中央の両性花も発色するまでだと思います。殆どのアジサイが、この数日から一週間程度に装飾花がしっかりと開き、両性花も色づきます。アジサイの花が最も美しい時期に、緑色に発色するアジサイの紹介です。
ガクアジサイ「大島緑花」 開花
以前に常緑アジサイの冬越しの記事で紹介しましたが、開花初期から追って紹介します。まず開花初期です。まだ中央の両性花は開花していませんが、外周の装飾花は綺麗に瑞々しい黄緑色で開いています。
続いて、両性花が咲きだす開花中期です。装飾花の緑色は色あせることなく、瑞々しいままです。両性花は青色から紫色で開花して、全て緑色の開花初期に比べて、花にコントラストが出てきます。
続いて開花最盛期です。両性花の開花が進み、装飾花の中央の小花も開花します。開花が進んでも、装飾花の黄緑色の瑞々しさは全く変わらず、大変綺麗です。一重のガクアジサイなので、花形は何の変哲もないのですが、花色だけで、これほど強い印象を与えることがよく分かると思います。
最後に開花終盤です。装飾花が反り返ってきて、開花終了を示します。もう少しすると、装飾花がひっくり変えると思います。幾分、装飾花の黄緑色の瑞々しさが薄れてきているように思います。装飾花の中央から白く色が抜けてきます。
開花初期から開花終盤まで一通り見るとよく分かりますが、装飾花の花の色として、黄緑色に発色していることがよく分かります。このまま秋色アジサイにしたらどうなるのかな?という興味もありますが、試してはいないです。。。
テマリアジサイ「エスメラルダ」 開花?
数年前に、オークションで目に付いて入手した手毬咲きアジサイです。南米(コロンビア?)から切り花で入ってくる輸入アジサイのようです。アジサイを切り花で入手するなんて気にしたことが無かったのですが、綺麗なアジサイです。
大島緑花と同じく、もし色が青やピンクの普通の色だったら、一重手毬咲きで、見過ごしてしまうような花ですが、黄緑色で一つの花の中央に白の十字が入る特徴で、一気に観賞価値の高いアジサイになっています。
写真では、まるで大株で綺麗に咲いているようですが、オークションで購入した切り花を株に挿してみた写真です(この切り花を挿し木して増やそうかなと思っています)。去年購入した小株があるのですが、まだまだ小さくて今期は開花せずで残念です。
来歴が不詳なので、仕方がないのですが、厳冬だった大阪の2021年の冬で大ダメージを受けていました。以前に紹介した記事『常緑アジサイ「八丈千鳥」の冬越し(凍傷)』にもありますが、アジサイ「八丈千鳥」や「三宅常盤」は寒い冬には危ないかも?と心づもりしていますが、「エスメラルダ」は情報不足であまり気にしていませんでした。。。小さい苗であることも一因と思いますが、2022年の冬は、「八丈千鳥」「三宅常盤」と同じように、要注意で冬を越したいと思います。
期待する次の緑色のアジサイ
花の楽しみ方で、色が黄緑というだけで、観賞価値が一気にアップすることがよく分かりました。あらためて花の印象を大きく決めるのは『色』だなと思います。次は、やっぱり形状の進化を期待してしまいます。八重の額咲きになった「大島緑花」、八重テマリ咲きになった「エスメラルダ」なんて、想像しただけで見たくなります。
一方で、『色』『形状』を突き詰めると、全て終着点が見えています。何でも「八重咲き×多色(覆輪、絞り)」になってしまう気がします。やっぱり、新しい観賞軸を追加するなら、『常緑四季咲き』ですね。今のところ、「八丈千鳥」「三宅常盤」くらいしかありませんが、初夏は当然のようにアジサイの花を楽しめて、秋や冬にも気づいたら、色とりどりの花が咲いていて、、、みたいなアジサイの楽しみ方をしたいですね。