常緑アジサイ 冬越し状況1月4日|寒波前
アジサイの中でも私の大好きな品種は「八丈千鳥」です。以前の記事(常緑アジサイ「八丈千鳥」の晩秋|2020年秋)に書かせていただきましたが、シンプルながら他に類を見ない『細長花弁の八重咲の花形』に加え、八丈千鳥特有の性質である『常緑』&『四季咲き』&『花形変化』が飽きずに長年楽しめるポイントです。
前の記事に続いて、冬に開花する八丈千鳥の花を紹介予定でしたが、2021年1月の大寒波で、大ダメージを受けてしまいました。。。残念な報告ですが、八丈千鳥の耐寒性を深く理解する情報として整理したいと思います。
まず新年早々1月4日の状態です。
前記事11月末の状態以上に、常緑アジサイの「八丈千鳥」「三宅常盤」、常緑アジサイの交配種の「泉鳥」と、通常の常緑でない普通のアジサイの落葉状態の差が出ています。
普通のアジサイが落葉がかなり進んでいるのに対し、「八丈千鳥」「三宅常盤」は多少の黄変程度で緑葉を保っています。「泉鳥」は、落葉が進み、「八丈千鳥」「三宅常盤」に比べ、常緑性が劣ることは明確なようです。交配によって常緑性が遺伝しにくいことを示しているように感じます。作出された品種に受け継ぎにくいとなると、原種の性質として「常緑」は、やはり貴重に思います。
次に、前記事11月末に紹介した花芽ですが、1月の寒い中、咲き始めていました。
まだ不十分な開花ですが、白の細弁の八重咲の感じが出ています。他にも花芽が顕著に見えてきた枝もあります。普通のアジサイでは、冬のこの時期に花芽は見れません。
このまま咲き進んでほしかったのですが、、、。
常緑アジサイ 冬越し状況1月15日|寒波後
1月2週目に全国的な寒波が来ました。大阪は、ここ数年来は極寒を感じることなく、冬を越していたので、特段の耐寒性の準備なく、寒波を迎えてしまいました。後日に分かる情報ですが、2021年1月を含む、最近3年間の大阪の冬の最低気温データです。横軸に12月、1月、2月の各日を、縦軸に各日の最低気温を、3色のラインは2018-2019年、2019-2021年、2020-2021年のデータを、プロットしています。2020-2021年のデータは緑色になります。
ここ3年間の冬で最も厳しい寒さが1月に発生しています。氷点下の気温が5日連続です。。。グラフを見て分かる通り、2月には単日で数回、氷点下近くに下がる日は毎年発生しますが、氷点下が連続5日間は大阪では珍しいことが分かります。
悲しくなりますが、氷点下5日連続後の1月14日の庭の状態です。
「泉鳥」は葉の痕跡も残らず。「三宅常盤」は茶色の葉が辛うじて残る程度。「八丈千鳥」は大半の葉が茶変するものの、部分的に緑の葉を残しています。この株の外観で分かる通り、常緑で越冬する特性(耐寒性の強さ)は、「八丈千鳥>三宅常盤>>泉鳥」の順に顕著となります。今回の比較対象にした泉鳥は、常緑性は皆無と言っていいかと思います(もともと品種の特性に常緑性は挙げられていません。交配親に八丈千鳥の使用が明記されているので、交配親の常緑性の影響を知りたいので、今回の比較対象に加えました)。
もう一点、定量的に分かったことは、「氷点下が5日連続続く寒さは、常緑アジサイに致命的なダメージを与える」ということです。また、「突発の1日の氷点下では、常緑アジサイにダメージを与えない」ということです。「八丈千鳥」のような魅力的な常緑アジサイを、『屋外』で育てる場合は、参考にできるかと思います。
実は、『八丈千鳥>三宅常盤』の耐寒性の差は過去の経験から理解していたので、今回の寒波対策は「三宅常盤」だけでもするべきでしたが、後の祭りです。。。八丈千鳥と三宅常盤の購入は同時期で、同じくらい長く育てているのですが、三宅常盤の方が、八丈千鳥に比べ、株サイズが小さいままなのは、冬の耐寒性差が主要因です。寒波が来る年度のたびに、三宅常盤のみ大ダメージで株サイズが小さくなっています。大阪では枯死までは進まないので、ついつい防寒処理を疎かにしてしまいます。ブログを書き始めたことを契機に、来冬からはしっかり防寒対策をしようと思います。
哀れな写真が続きますが、開花が進もうとしていた花です。
無残なものです。。。しかし、葉芽は何とか生き残っています。
葉芽と葉芽を守る2枚の葉が元気な緑のままです。今回比較した3品種の中で、八丈千鳥は、最もタフに冬を生き残ってくれているようで、ホッとさせてくれます。
全体の株姿を見ても、葉芽と葉芽を守る数枚の葉が残っていることが分かります。ただ、同じ強烈な寒波を受けても、植物種類として常緑性のある沈丁花「前島」(写真左)が全くダメージを受けずに綺麗な斑入り葉を保つことを見ると、植物種類として落葉性のアジサイで、常緑を保つことの難しさがよく分かります。
大島緑花(伊豆緑栄)の紹介|伊豆諸島のアジサイ達
綺麗な画像のない記事でしたので、最後に同じ伊豆諸島産の括りになる「大島緑花」の紹介です。「伊豆緑栄」とも言われるそうですが、流通している名は「大島緑花」が有名です。
アジサイの開花初期の装飾花が黄緑色は当たり前です。しかし、この「大島緑花」は開花が進んでも黄緑色を保ち、他には類を見ない花色を示します。写真では、中央の両性花が青紫色に開花し始めており、装飾花、両性花が満開になった時には、黄緑色と青紫色の珍しいコントラストを示します。
「『大島』緑花」、「『三宅』常盤」、「『八丈』千鳥」の『』は、伊豆大島、三宅島、八丈島が原産であることからの命名です。3つの島は東京から近い順に、
- 伊豆大島・・・東京から南に120km(北緯34度44分) 平均気温16℃
- 三宅島・・・東京から南に180km(北緯34度04分) 平均気温18℃
- 八丈島・・・東京から南に290km(北緯33度06分) 平均気温19℃
となります。緯度で比較すると、八丈島がかなり南方になります。年平均気温で比較すると、3島に大差がありませんが、冬の最低気温のような耐寒性に関係する温度で比較すると、八丈島の暖かさが際立ちます。
ちなみに同じく寒波後1月15日の大島緑花の状態です。
八丈千鳥、三宅常盤に比べると、育てた年数が少ない株ですので、単純比較できませんが、八丈千鳥クラスの常緑性は無さそうです。。。島の位置から勝手な推測をすると、日本の本州から離れた暖地で過ごすアジサイほど、常緑性が強いものになっているようです。常緑性だけでは、これらの伊豆諸島系?アジサイに魅かれないのですが、それぞれが流行りの作出品種では見られない花の特徴を持っているので、長く愛培したくなる魅力を持っています。